ぷかしりまる

福田村事件のぷかしりまるのネタバレレビュー・内容・結末

福田村事件(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

重要なテーマを扱っている作品ではあるけれど、劇映画としてあまり良くないと思った。

技法的に
・軍人会の喧嘩、殴られる側が挑発するショット→東出が立ち上がって殴るショットを繋ぐ時に、立ち上がる音が入らないから切り替わって動くのワンテンポ遅くてもっさりしてる。
・柄本明おっぱいシーンの、女が夫を見送って遺体に寄り添うとこ、場面転換でもないのにカットを割ったのが謎だった。
・全体的に演出がわざとらしい。たとえば田中麗子が「やっぱ言うのやーめたっ!」と言い終わったあとに湯船ちゃぷるんだけど、ふつうは喋りながら動くのではないか。

殺害する人(または根拠のない噂や妄想を信じる人)とそれに反対する人(または根拠を探して噂を信じない人)が、平行線上にあるまま終わってしまったように思う。殺害の場面は、前者の人々のお祭り騒ぎみたいだった。後者の人々が挑発や村八分のような同調圧力のために殺さなくてはならなかった、というようなストーリーでなかったため、殺害は後者のような人でも起こしてしまえるのだという実感がない。あくまでも、噂や妄想を信じたヒステリックな人たちが起こす事件という印象を受けた。誰でも加害者になりうるのではないのか?
言葉で説明する映画だった。そしてこの映画は非常に怒鳴り声が多い。だから大切なことを言葉で説明する場面も、他のどうしようもない喧嘩の場面のように声が張り上げられていたり、怒鳴り声として語られるので、優先されるべきメッセージが頭に入ってきにくい。もちろん「この人たちが日本人だったらどうする」という掛け合いのヒートアップに、瑛太が「朝鮮人なら殺してもいいのか」と声を抑えて加わる場面は良かった。
また、一部の登場人物を1920年代日本人のコスプレしてる現代人だと感じてしまった。現代の若者の喋り方をしていたり、人物の顔つきや日焼けしてなさ、栄養状態など気になって仕方なかった。

オモシロシーン
田中麗子が指輪をあげると言って(たしか)落とし、東出に拾われ「指輪じゃくて、あたしが欲しくないの?♡」っていうセリフからエッチすんの、馬鹿すぎる。女の性の描き方、結構気持ち悪いけどなんなんだろう。

追記
劇場が停電し、クライマックスのところで上映が中断した。そのため一週間くらい経ってから最後の20分だけ見た。