ぴよ2522

正欲のぴよ2522のレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
4.1
普通、多様性、マイノリティ、マジョリティ

映画を観ながらずっと考えてたんだけど、でも、でも、でも、ばかり頭の中をぐるぐる回ってわけがわからなくなった。
多様性を受け入れる社会にって最近特によく見るしその通りだと思う。
でもトイレ問題でも散々語られたように自分と違うものに生理的な怖さもある。
でも生きにくさを抱えた人を否定したくない。そもそも何で私はナチュラルに"否定する側"に自分を置いてるんだ。
でもある種のフェティシズムと犯罪は紙一重だったりもするし。
でも、がぐーるぐーるぐーるぐーる。
めちゃくちゃ考えさせられました。
多分「正欲」と同様「正解」もないテーマなんだろう。
我が身に置き換えて考えるキッカケをもらうみたいなこういう映画好き。

ある嗜好を抱えて生きることに辛さを抱えた新垣結衣演じる夏月と磯村勇斗演じる佳道の死んだ魚みたいな目が、再会を経て地に足つけた感じに変化していくの素晴らしかった。
それとは真逆の、自分の感覚が「普通」だと疑いもしない稲垣吾郎演じる検事の寺井の硬質さも対比が効いていてすごく良かった。

あとダイバーシティを謳った大学のフェスでダンスサークルの諸橋大也に女性的なダンスを踊らせて多様性を表現しようと盛り上がる運営に諸橋が表面だけ取り繕って踊りたくもないダンスを踊らせるのは多様性じゃないみたいなことを言い放つシーンにそうそれ!と膝ポンしたくなった。
テレビで見る多様性を扱う番組で感じる違和感の正体はそれだ。
上辺だけそれらしく作り込んで知ったふうに理解を求めるのは当事者にしたらめっちゃムカつきませんかね?と思ったりでもそれが知るキッカケになるかもと思ったり。
多様性を扱うのは結構難しいよね、と脱線。

ラストシーンの一言で「普通」が反転した時の夏月と寺井の目が印象的。
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