ぴよ2522

83歳のやさしいスパイのぴよ2522のレビュー・感想・評価

83歳のやさしいスパイ(2020年製作の映画)
3.8
特養ホームの内情を探るスパイとして雇われた老人セルヒオが持ち前の優しさとおせっかいを発揮するうちにホームの人達の心の拠り所となっていく。
スマホさえ使いこなせないセルヒオが老人の輪に結構大胆にグイグイ入ったり、他人の部屋にまで突入するのはハラハラする。
おじいちゃんそっち行っちゃダメー!と連れ戻したくなる(笑)

特養ホームという狭い社会の中を覗き見るうちに、親や自分が老いた後の生活や終末期についてすごく考えさせられた。
終末期に向かうにつれてそれまでの人間関係はどんどん削ぎ落とされていく。
友人や家族ですらずっと一緒にいられるとは限らない。
特養ホームに入居すればしたで見知らぬ人達といちから関係を構築し、生活しなければならない。
一見楽しく過ごしているように見えて、実は独りより尚強く孤独を感じる悲しさが伝わってきてしんどかった。
日本も超高齢化社会に突入して、全く他人事じゃない世界なんだよねぇ。
老い支度って金銭的なことばかり考えていたけどむしろ心の豊かさをどうキープするかの方が遥かに大切なのかもしれない。
いろいろ考えさせられるドキュメンタリーでした。
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