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M3GAN/ミーガンのBitdemonzのレビュー・感想・評価

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)
3.2
SF的な趣きが強いが、スリラー作品として抑えるべくしたポイントはしっかりとしており面白い。またミーガンの造形も可愛いらしい < やや不気味に寄った絶妙なバランスのデザインは、作品を彩るアイコンとしても立っており好感触。

とはいえ、気になる部分も幾つか。
そもそもプレゼン発表に間に合わせる為(延期してたが)に明らかにAIの学習パターンに違和感があるアンドロイドなのにも関わらず(演出で判りやすくしてたとはいえ)、姪っ子で試験的に使ってしまうという不用心さ…

…は、この際置いといたとしても、開発中のアンドロイド玩具が純粋に指令に忠実という行動原理には見えず、“姪っ子を護る”という“建て前”で最初から作為的に人間に危害を加えようと企んでいるように見えてしまっている気がしたのは、仮にそうであるならエンディングの演出にも繋がるのである意味有りだとは思うが、この解釈が正しいかどうか…どうにもモヤモヤする。

途中から狂っていく、ではなく“正常なフリ”をしてたのであれば、ましてやAIによる思考なのであれば、もっと狡猾な、それこそかなり早い段階でネットワークとの共有によるIT家電系のコントロールから世界中のネットワークへのアクセスも容易に出来たであろうと思う。初期段階ではプロテクトはあったようだが、人間や動物に対して危害を加える事を選択する思考になったかの過程や行動原理(本当に姪っ子を護るという指令ゆえの行き過ぎた行動なのか?)がもう少し明確ならもっと腑に落ちる気もする。

どちらにせよ中途半端に感じてしまったのは、やはり“魂が乗り移る某人形”と比べるとSF的な設定ゆえのリアリティ部分での不完全さがノイズとしてかえって余計に際立ってしまうからなのか…と、まぁそれを言い出したらキリがないし、そこは割り切って観るのが正しい鑑賞方法だろう。

あとは、登場人物の関係性も開発中のAI人形を暴走させる辻褄のために作られている事を補間するために丁寧過ぎる前置きが必要になってしまっている印象もあり、「丁寧」ではあるが、“事が起きる”までの助走がかなり長いと感じてしまった(ただ全体の尺は丁度良かった)点は少し残念であり、しっかりキャラの立ったミーガンが大暴れ出来るパートにもっと尺を割いても良かったのではないかと思う。



ただそうは言っても、やはり見せ場となるポイントは本当にしっかりと作られてて、ストーリーの概要は忘れてもきっと“あの滑らかなダンスシーン”や”無表情での四つん這いダッシュ”などは記憶に残るハズです。

そういった画ヂカラが随所にビンビンに感じられるので、作品としての強さはピカイチなんだと思います。
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