七色星団

クリード 過去の逆襲の七色星団のレビュー・感想・評価

クリード 過去の逆襲(2023年製作の映画)
2.4
マイケル・B・ジョーダンがアニメ好きだからかアニメ的表現の面白いシーンや、試合シーンは3作目という蓄積もあって流石の迫力。
でも、本編合間に入る娘やクリード母のエピソードのくだりは正直要らんよね。あの辺は全カットしてでもアドニスとデイムの繋がりに焦点を絞って、二人がどれだけの地獄の日々を支え合って生き延びてきたのかを描いた方が良かったと思う。デイム単体では良いキャラクターで、アドニスに対する言葉にならない燻った思いは沢山あったはずなのに、本編には

→よぉ、久し振りだな、兄弟
→仕事くれて感謝するよ
→俺にもチャンスをくれ!
→今おまえがいる場所は本当は俺の場所だ
→ぶっ潰してやる!
→(試合後)よぉ、兄弟

っと、まるで記号のようなデイムの感情が散りばめてあるだけなので、デイムの情緒アップダウンの高低差に耳キーンで怖ぇーよ笑

それとチョイチョイ気になるのはデイムが言う「俺が教えた闘い方」って台詞。そして、それに対して何の反論もしないアドニス。
いや闘い方だけでなく、ボクシング&人生との向き合い方まで全てを教えたのロッキー御大だろーがよぉ!

そうなんですよ。本作の致命的欠点は、あの偉大な男の不在であり、どういう経緯でアドニスがロッキーから精神的な卒業を果たして独り立ちしたかが描かれないし、ロッキーが生きてるのか死んでるのか不明で、何より存在すらしてなかったかのような扱いなので終始戸惑うんだよね。

ストーリーも何だか『ロッキー3』と『ロッキー4/炎の友情』の旨味を取り出したつもりで、実は旨味より灰汁の方が多くかったんじゃないかって塩梅でとっ散らかってるし。
製作にはスタローンや前二作の監督ライアン・クーグラーの名前もあって何故こうなった?としか思えない悲しい珍作。
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