若草

最後まで行くの若草のネタバレレビュー・内容・結末

最後まで行く(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

昨日韓国のオリジナル版を見てからの続けて鑑賞。
うーんやっぱりオリジナルには劣る。
日本映画単体として見れば、結構面白いじゃんって満足度高いかも。
でもこうやって比べてしまうとその差は歴然。
韓国映画のどこが上手くて魅力を感じるのかをいろいろ考えられたという意味では、続けて観てとても面白かった。

日本は無駄な場面多すぎで設定盛りすぎ。
離婚寸前の崩壊した夫婦仲はこの刑事のキャラクターならあり得る設定だから良しとしても、娘の誘拐まで盛り込んでめちゃくちゃになってる。
結果どっちも上手く消化しきれていない。
夫として父としてあんなクソクズ野郎なのに最後いい感じに元に戻りそうで引いた。
信頼を回復するような場面あった?
娘の誘拐もあんな雑に取ってつけたように扱うなら不要(なんで広末涼子はあんなに冷静なのか)。
あと雪が降って年越しカウントダウンする意味…こういう細かい無駄な設定でふわっといい話(?)にしようとするとこあるよね。
最後、柄本明の隣に逃げ出した若い女の子が座る唐突なワンカットいる?本当にどうしても必要?
その安易なくっつけ方が本当に日本らしくてキモくて嫌い。
韓国映画では絶対にこういうストーリー展開に不要なキモいカットは入れない。
でもなんかこういうの全部分かるんだよなぁ。
これまで観てきた映画にもたくさんあった気がする。
こういう部分に普段から集中を削がれてなんかモヤモヤさせられてたんじゃ…という気がした。

それから、ひとつひとつの要素が薄い。
例えば車の爆破後のシーンを見比べてみると、オリジナルは主人公の不安と焦りの表情がかなり長くてアングルも向こう岸から撮ったりして凝ってて、水面に相手の頭が何度か浮かんできたり、本当に死んだか?ってじりじりする演出が上手い。
リメイクは短くて、一度沈んでしばらくしたら安堵、みたいなチープさ。
ここだけでも全然画面の緊張感と作り込みが違う。
こういう差が積み重なれば、全体の質の高さも大きく変わってくるよなぁ。

岡田准一と綾野剛が互角になっていたのが、オリジナルの良さを潰してしまっていた。
圧倒的に強くて怖い相手に弱みを握られ監視され命令されて衰弱していく主人公がこの脚本の見どころなのに、相手も同程度だったら意味ない。
オリジナルの相手が強すぎ怖すぎですごく迫力あったから余計にそう感じてしまった。
葬式に対する結婚、母親に対する義父みたいな対称性を持たせたかったのかもしれないけど、それもわざとらしいというか安直というか。

まあどこまでいってもこういう感想しか出てこない。
作品の質に大きな差があるということをはっきり感じた。

一点だけ、死体を葬儀場の中に運ぶ方法はリメイクが正解だと思った。
オリジナル観て、あんなおもちゃで成人男性運べるわけないやろって盛大にツッコんでたから。

文化の違いの面では、母親の葬儀が日本ではそれほど重視されない(言い訳にならない)ところに差が出ていて興味深かったのと、死体の足の間から母親の顔が覗くの最低でちょっと面白かった。
儒教思想が強い韓国では、この描写思い付きもしないのでは。あまりに母親に失礼で。
若草

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