烏丸メヰ

ゴジラxコング 新たなる帝国の烏丸メヰのレビュー・感想・評価

4.3
ゴジラとコングが人類に力を見せつけた香港決戦から数年。
ゴジラの行動と、コングの生きる地の異変に、研究機関「モナーク」は新たな調査を開始する。

モンスターバースの怪獣(=単なる怪物ではなく、生物感のある怪獣)バトルを観たい!という私を嫌な方向へ一切裏切らない最強の快作!
“怪獣”を観たい者に“怪獣”を見せる凄まじいまでの誠意。
しかも「肉食べたいなー」と言ったら「特上和牛のステーキに地鶏唐揚げと黒豚トンカツ乗せてTボーンステーキの皿に馬刺し敷いて出してきた」くらいの大盤振る舞いと絶対的質量。

世界各国の名所に怪獣が現れる!という絵の楽しさも前作以上だった。
個人的には何よりも、エンドロールにあったモンスターバースの神話考証スタッフに心からの賛辞を。
前作で風神雷神図ばりの神話遺産までも世界観を構築しておきながら、ここまで本作で上手く舵を切り、新たな神話を構成した手腕に痺れる憧れる。


ギャレゴジ(モンスターバース最初の『ゴジラ』)以降のゴジラデザインに好き嫌いは分かれると思うが、実際にテグーやモニター(オオトカゲ類)の全力疾走やよじ登り行動を見たことがある身としては、個人的にモンスターバースのゴジラの最大の魅力は爬虫類然とした動きを怪獣に拡大したクリーチャーとしての仕草にある。
コングはというと、前作でも見せた道具の使い方を思案し使いこなすだとか、力を誇示したり喜怒哀楽を表す知性の描写に愛着がわいている。

超常の力を放つ獣性の怪獣“王”ゴジラ、守るべきものを持つ知性の“キング”コング。
本作では、そんな彼らに相応しい“敵”が現れ、そこも満足感たっぷり。


最近の怪獣はもう“特撮”を脱してしまったVFX分野のもの感はあるが、怪獣好きは勿論の事、一周まわって「モンハン」好きにぜひ観て欲しい要素がたっぷり(笑)。
私は「子供向けのチープな怪獣プロレス」至上主義ではないし「怪獣を使った説教」も大人向け娯楽としては全然嫌ではないんだけど、
“私は怪獣という生き物を観に来てるんだ!”
という欲求に120%答えてくれる娯楽性と素直な迫力、純粋にスクリーンから浴びられる豪華でハチャメチャな怪獣ストーリーのカッコよさはやはり最高に嬉しい。
某ゲームの四天王的生物のうち断トツ人気のやつが「こんなん“キャラ”すぎるだろ、何頭もいる生物らしくない」と思ってて好きになれなかったのだが、意外な所でやっぱりそれのデザインは“生物”より“キャラ怪獣”向けだよなと再確認してしまった。あれ大丈夫(笑)?

怪獣メインでありながら、怪獣と共存する人類の存在をしっかり見せてくれるのも熱い。
海原にゴジラ。
大地にコング。
そして大空にーー。

地球に“唯一の支配者”など存在しない。
人も、そして怪獣も“この星の生命”だという事を思い知る、説教でも理屈でもない圧倒的膂力!
烏丸メヰ

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