烏丸メヰ

アンフレンデッド:ダークウェブの烏丸メヰのレビュー・感想・評価

3.3
もしも、欲しいスマートフォンやパソコン等の高性能最新機種の端末が“簡単に手の届く状況”だったら、あなたは飛びつきますか?

中古パソコンを手にいれた主人公マタイアス。
友人ら、そして聾唖者の恋人とビデオ通話をしていると、画面上に元の持ち主の作成していたフォルダに気がつくーー


全編PC画面POVを継承しつつ、バズり目当ての悪ふざけやインターネットいじめへの警告的心霊ホラーの前作から一変、社会の裏を描くwebスリラーへ。

『ホステル』の様に、日常と背合わせの“ありそう”な裏社会の得体の知れなさを描き、攻防とも言える主人公らの奔走、画面ノイズに勝る残酷シーン等、巻き起こる出来事と人物のキャラクター性は個人的に前作より遥かに好みだった。
白ロム中古品等が売買されるようになって久しいが
「中古端末に残っていた前ユーザーの形跡」
という、もし目にしたら気持ち悪く、人によっては好奇心を掻き立てられるだろうモチーフが現代的で秀逸。

ミニマムで端末画面上のみの構成だが、聾唖者であり主人公と手話・メール文面でやりとりする恋人の他、パソコンに詳しい秀才、陰謀論オタク等、登場人物達に各々「ここでこいつが!」という見せ場的噛み合いがあるのも群像劇としてスパイス。
欲を言えば、結婚の幸せと親の病や不寛容に悩む同性カップルへの“犯人からの揺さぶり”は、アウティング(本人らの望まない人・場所へのセクシュアリティ暴露)脅迫とかの方が真に迫る「web暴力」だったなとは思う。

規模感、技術、テーマ、お涙恋愛無し等からオスカー受賞の超大作!とは評価されないジャンルの映画の一つではあるが、私としては「こういう映画が出てきて面白い!観たい・楽しかった!」と思える作品。
烏丸メヰ

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