ソラアユム

世界の終わりからのソラアユムのレビュー・感想・評価

世界の終わりから(2023年製作の映画)
3.4
題名:世界の終わりから
鑑賞日時:2024年4月14日
鑑賞方式:NETFLIX
評価:3.4(MAX5.0)

『世界の終わりから未来のあなたへ』


□2024年64本目

□不思議な夢を見るようになった女子高生が政府の特殊機関と共に世界の終わりを止めるべく奔走する姿を描くSFドラマ

全ての人の運命が記録された本が、ある時点を境に途切れている。つまり世界の終わりは近いということらしい。それを防ぐカギは身寄りのない女子高生が見る夢の中に在るらしい。これは、紀里谷流のセカイ系?「察してください」と言わんばかりの独りよがりな作劇をどう楽しめばよいか…と頭を悩ませる珍品である。

興味を引く要素はいくつかあった…

まずは、SF映画『メッセージ』でも取り上げられた【三世の書】という運命との向き合い方についての哲学的問いが輪廻師によって語られたりもする。運命なんてものは後から恣意的に解釈できるけれど、自身に待ち受ける過酷な運命にどう立ち向かうのかといった深い部分の考察は全くされず、半端な形に終わる。

夏木マリが演じる湯婆婆風の輪廻師と病み上がりの北村一輝が演じる“無限”の対立構図。もったいぶった台詞回しでヒロインや我々を混乱に陥れるが、説明がさらなる謎を呼ぶ無限回郎仕様。そこにもあまり意味はない。

国防にも深くかかわる特殊な組織の人員不足とセキュリティの甘さも気になるが、そんな物語を成立させるための“基本的な部分”には監督はどうやら関心はなさそうだ。そう、この監督にそんな常識は通用しない。

ストーリーを成立させるための説明や描写は具体的に。テーマを登場人物たちの声という形で伝える台詞は抽象的で詩的に。映画といわず全ての物語に共通する定石。これが逆転しているのだ。これぞ紀里谷節。映像は良かったし、1番見やすい作品ではあったね。


以上