ソラアユム

そして僕は途方に暮れるのソラアユムのレビュー・感想・評価

そして僕は途方に暮れる(2022年製作の映画)
3.7
題名:そして僕は途方に暮れる
鑑賞日時:2024年4月20日
鑑賞方式:Amazon Prime Video
評価:3.7(MAX5.0)

『逃げて、逃げて、逃げ続けろ…』


□2024年68本目

□浮気が発覚したことをきっかけに彼女の家から逃走したフリーターの末路を描くドラマ作品

“映画を語る映画”という側面で、今作は面白い試みをしている作品だった。都合が悪くなるとその場から逃げ出す男が、良くしてくれる知人を次から次に裏切り続け、やがてたどり着くことになる運命の行末は誰もが気になるはず。

そういった興味をある程度は持てる作品なのだけれど、開始30分で計3回も逃走したりと、かなり短いスパンで起こる似たり寄ったりの展開が退屈に感じてしまったのと、主人公が血の通った人間に見えないというところでやや興味は失われてしまう。

勿論、今作の意図するところはある程度汲み取ってあげられる。主人公をあえて共感しづらいキャラクターに造形することが巧くハマっている瞬間もあるし、最後にあの“魔法の言葉”を言わせるという展開は明々白々。ある程度のリアリティラインを維持しながら、主人公の人として終わっている側面を描けているとは思う。

とはいえ、物語の落としどころを簡単に想像できてしまうために、展開も非常に読みやすくなってしまう。主人公がこれまでの裏切り行為を謝罪するシーンを見ても、どうせまた大切な人たちを裏切るに決まっているので、どういった感情で見ればよいのか当惑してしまった。

そして、最終的には主人公は途方に暮れるわけだけれど、そのキッカケとなる展開のパンチもやや弱い。人の心が無い主人公がそんなことで途方には暮れないだろうって。なんで、そこだけ人の心取り戻すのって話。

主人公の父が出てきたあたりで一気に話が面白くなりかけるのだけれど、大きな盛り上がりは作れず尻すぼみになってしまった。

できれば、『面白くなってきやがったぜ』って言いたかったぜ


以上