カイト

パスト ライブス/再会のカイトのネタバレレビュー・内容・結末

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ラストシーンで号泣
物語は結婚した自分の住むNYに好きだった人が来るだけの話なのにこんなにも複雑な心情が織り混ざるとこんなにもエモーショナルな感情になるとは思ってもみなかった
ノラ(ナヨン)が玄関まで迎えにきたアーサーの胸で泣き始めた瞬間、自らの目からも涙が止まらなかった
正直、なぜ何に心を震わされて涙が溢れたのかしっくりきてなくて不思議でたまらない
あの2人の立場で反芻しても選択しなかった道に後悔している訳でもないだろうし、今に大きな不満がある訳でもないと思う
きっと互いに結ばれなかったからこそ、今があるのだとよく理解しいるとさえ想像できる振る舞いをしていたように見えた
だから決してやり直したいとか、もう一度なんて望んでいなくて純粋に会いたかったのだと思う
なにかが変わる期待などなく自らの視界に捉えたいそんな想いが合致して会っただけの話
それなのにタラレバが顔を出すとどうしてこうもセンチメンタルになるのだろう
そんなことをぐるぐると考えてしまう
たぶんこの映画によりもたらされた感情の理由は分からないのかもしれない
鑑賞から一夜経って、それでもいいのかなって思えるようになった
ひとつ言えるのはこれは"縁"によるもの
出会いや再会、そして別れまでも"縁"がつなぐと考えると一晩寝ただけ分かる訳もなく、だからこそ人生って面白いものだと感慨深くなってしまう
そのくらい2人が会っているシーンは丁寧描かれていたし、素敵だった
次点で気に入りはヘソンと別れてからのアーサーに会うまでのただ歩いているだけのシーン
2人の別れはハグする程度で何も起きなかった帰路を写しているだけなのになんて映画的なんだろうと感じ入ってしまった
日常では人と別れたときのその先を知る由もないのだけど、それを2人で来た道を1人で帰るだけで心を動かされるのは映画だからこそ味わえる時間で映画がより好きになった
幼馴染みの2人にとっては異物のアーサーはノラが見送りに行っている時間はすごく怖かっただろうと思う
自分だったら出来ないかも・・
優しくて懐が深くていい奴過ぎる

この映画に"縁"があって出会えて本当に良かったと心から思える作品だった
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