ブルーグリーンブルー

COUNT 100のブルーグリーンブルーのネタバレレビュー・内容・結末

COUNT 100(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

世にも奇妙な物語や星新一のショートショートのようなお話だが、ボクシングのリアルさ、役者の演技力(人間らしさ/アンドロイドらしさ?)によってショートフィルムとは思えないほど重厚な人間ドラマになっている。
かつてチャンピオンだったが、敗戦をきっかけにすっかり無気力になってしまい、恋人からも見放されそうになっている男を演じる林遣都の死んだ魚のような目が印象的。ある場所で、不思議な人物と入れ替わり、100日間身を潜めているように言われる。自堕落な生活は、入れ替わりのせいだけでなく、もともと光輝の心の中にあったのだろう。思う存分パスタやチャーハンが食べたい、お笑い番組を見てダラダラしたい…。
その間入れ替わった男はひたすらトレーニングに励む。そのトレーニングは、本当にボクサーのドキュメンタリーを見ているようで真に迫っている。
そして100日後チャンピオンに返り咲いた入れ替わり男は、もう戻らないと言い出して…。
100日後に死ぬワニではないが、100日は短いようで長い。その時間をどう生きるか。栄光の陰にある人に見えない努力は何のためにあるのか。鋭く突きつけられる。