この世界の（さらにいくつもの）片隅にのブルーグリーンブルーのレビュー・感想・評価

心の襞、女同士の絆、墓まで持っていく秘密、白粉と汗のにおい、子どもの体温、発熱、雪の冷たさ、埃臭い防空壕、ほのかな初恋の思い出、夫婦喧嘩、嫉妬、劣等感、自分だけの持ち物、居心地の悪さ…

そういったささやかな人間の営みのすべてを切り裂く機銃掃射、焼夷弾、時間差爆弾、そして原爆

手で触れた感触まで感じられるような細密な描写と、無慈悲で強力な兵器が鋭く対立し、戦争の恐ろしさを肌間隔で伝えてくれる