ブルーグリーンブルー

犬部!のブルーグリーンブルーのレビュー・感想・評価

犬部!(2021年製作の映画)
4.8
後味がいい映画が好きだ。この映画は重いテーマを扱っているが後味は爽やかである。
犬部を丁寧に取材した片野ゆかさんが原案、ペットの殺処分問題を知り尽くした山田あかねさんが脚本というだけあって、ペットの様々な問題がリアルに描かれている。でも全体のトーンは明るく、ラストは希望が持てるような構成になっているところは楽しく見られてよい。
林遣都さんは、陰影の多い複雑な役を演じられることが多いが、今回は動物のためになることなら何でもする直情的な人物を演じていて、物語全般を引っ張っている。主役として中心に立っても魅力的であることがわかった。それに対して中川大志さんが苦悩や挫折を味わう人物を演じていて、絶望するシーンなどはとても迫力があってよかった。
命の重みを感じさせる展開だが、映画としては比較的淡々と進む。それが物足りなく感じる人もいるかもしれないが、よく見ると動物たちの動きや表情が多くを物語っている。人間の俳優(と言いたくなるくらい動物の演技がすごい)も感情表現を繊細に演じているので、どんな心情の変化があったかが読み取れる。
子どもが見ても何かを感じ取れるし、大人は人生を考え直すことができるだろう。