木野エルゴ

マディのおしごと 恋の手ほどき始めますの木野エルゴのレビュー・感想・評価

3.2
生まれた時から住んでいる街が高級住宅地になり資産税が高騰。Uberの運転手をしているマディは税金の滞納で生活の命綱とも言える自家用車を差し押さえられてしまう。夏場限定ウェイトレスのバイトだけでは焼け石に水で、このままでは家まで差し押さえられてしまう。そんな折、友人のサラがネットの求人サイトで怪しげな募集を見つける。内気な息子の殻を破ってくれたら高級車を譲渡するという内容に初めは訝しんでいたマディだが、背に腹は変えられないと依頼人夫婦と面会。(年齢的にアウトだったが)強引に依頼を引き受ける。息子(パーシー)に計画を知られないよう偶然を装うマディだったが何もかもが裏目に出てしまい、終いには痴漢用スプレーを顔面に吹きかけられる。


監督・脚本が『バッド・ティーチャー』の脚本書いたジーン・スタプニツキー。今作の主人公も性に開放的で破天荒な性格、周囲から見れば「おかしい人」と言われがち。とはいえ、彼女目線で物語は進行するので見ている方からすると彼女の行動はある程度理に適っている。ローラーブレードで行動するなら普通の靴を持ち歩くのは必須じゃね?と思わなくもないが。

マディとパーシーの距離の近づき方がずいぶん急な気がするし、パーシーがコミュニケーションを取れないタイプの内気ではなく、寧ろ相手の話を理解する能力に長けてるあたり出来すぎた話のような感じがする。とはいえ、映画の尺で収める必要があるから仕方ないところではある。

そこらへんの足りない部分をジェニファー・ローレンスの演技力とコメディエンヌとしての魅力でカバーしてた印象。夜のビーチで全裸プロレスしててもケツに火をつけながら車のボンネットにしがみついても、全く下品に見えないジェニファー・ローレンスのキャラクター性は本当に独特だと思う。これがエマ・ストーンやアン・ハサウェイだったらきっと嫌味な感じすらする(とんだ偏見)。

あとパーシー役のアンドリュー・バース・フェルドマンが役にピッタリのビジュアルと雰囲気だったのもポイントが高い。

他のキャストも渋いチョイスながら味わい深い。車をレッカーするゲイリー役が『the bear』でだいぶ嫌なやつをやってたエボン・モス=バックラックだったのが面白かった。未練たらたらな優柔不断ボーイ。

基本的にメインの登場人物たちがそれなりに物分かりの良い人たちだっただけに、モブの底意地の悪い描写が目立った作品だった。相手の同意を得ずに動画を撮るのはあかんやろ。
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