ボギーパパ

ミッシングのボギーパパのレビュー・感想・評価

ミッシング(2024年製作の映画)
4.5
劇場2024-46 熊P

あの『ヒメアノ〜ル』『BLUE』『空白』の吉田恵輔脚本・監督作品。
好きです。この3作品は特別に好きです。

結論から言うと本作は吉田恵輔作品の中でもベスト級に好き!と言える。言い切れる。

事件・事故は常に人の身近に潜んでいる。
そしてふとした瞬間、その、事件・事故は忍び寄り、被害者つまり、その人は「害」を被らされるのだ。

そしてこの「害」というものは、「直接的」なものが主であろうが、実に恐ろしく面倒なのは「間接的」なものであり、むしろこちらがじわじわと被害者の心身に効いてくる事例は枚挙にいとまないところ。

本作はその間接的な害=悪意が、様々にカタチをえてこれでもか!これでもか!と打ち据えて事件の被害者家族を苦しめる、、、、
見えないところから飛んでくるパンチが、テンプル、チン、ボディ、そしてハートを撃ち抜いてくる。そのパンチを食らったほうはもうフラフラだ、、、
(吉田監督はボクシング経験者です)

パンチの種類は
①SNSの悪意溢れる書き込み
②嫌がらせメール
③イタ電
④投石
⑤器物破損
⑥冷ややかな噂話
⑦時間の経過による記憶の薄れ
⑧無関心
そしてもう一つの話の軸となる
⑨テレビ局の思惑と、その行いそのもの。

PCやスマホの画面越しにやってくる①②や
そしてセーフティゾーンからの直接的攻撃を仕掛けてくる③④⑤
声もなく打撃自体はないが⑦⑧は空気が凍りつくようでの恐怖

そして、それらをいくらでも醸成し、パンチを仕掛けることが可能で最も危険⚠️なのは⑨!

ローカルテレビ局の報道局
デスク、部長、局長
それぞれが視聴率獲得のため、現場にエッジ
を効かせる事をついつい求める。
そして現場は唯唯諾諾とすっかり乗るか?
あるいは自らの信念を以って抵抗するか?

エッジを効かせ、意図を持たせる報道は、真実を等身大に伝えず、偏向した角度をつけてしまい、更なる被害を生み出すと言うことを忘れてはならない。

まぁこれは映画だから、やや?誇張されているとはいえ、ニュースに角度をつけて、意図を持たせ、変な方向へ導こうとするのって、結構あったりするんだよなぁ、、、

下手なホラー映画より怖い怖い!

本作とにかくゾッとする描写が至る所に仕掛けられており、その地点に辿り着くと爆発する。
石原さとみの本当に追い詰められた母としての演技、商店街の悲鳴とか、、、
青木崇高が地雷踏んだと思った時の表情やごめんっていうセリフの言い方
柳ユーレイ=刑事の「真実が面白れぇんだよ!」ってセリフ。実は真実を突いている怖さ!
森優作も全てが凄かった!存在そのものがゾクッとする!目つきだけで恐ろしい!

これこそ枚挙にいとまない、

あぁためだこれも一度観ないといかんかもしれない!覚えきれないほどだ、今度はメモ取ろう。
とにかく全編至る所にガラスの破片や地雷が
埋まっていて、不用意に歩くと踏んで、足が血だらけになって、それ取り除こうとした手も切ってしまう、あるいは吹き飛ばされる、そんな作品です。

さすが吉田恵輔監督!私的には今年上半期邦画ベストです。


そして以下蛇足を記します。余計なことなので、、、










私、本作のもう一つの舞台でもあるローカル局で勤務しております。
WOWOWさんの制作なので、誤解や誤認、またはデフォルメがあるといけませんが、、、、

ほとんどのローカル局の報道局の部屋はあんなに広くありませんし、記者があんなに人数いません。また設備も最高級のものでしたねホンモノはあんなに綺麗ではありません(^^)
モニターもメーカーバラバラだったりもします。

入社してすぐの新人にも、もちろん仕事を任せることはありますが、ああいったマン振りはしません。人数が少ないというのは事実ですから。
セリフにもありましたが、「ウチは何でもやらせるからな」というのは本当です(^^)

そして昔ならいざ知らず、あんな怒り方を、特に新人になんか絶対しません!
いくら映画でもあれは平成初期までです。令和ではありえません。泣いている子はたまにいますけれども、あんな叱り方はしません。
昭和、平成初期にはあんなことばかりでしたが、、、

局長賞というのも、オンエアした日に授与なんて、映画の時間軸の中の話だと思います。
本来なら視聴率や、反響、その報道の及ぼす影響など精査してからの賞ですし、稟議を通す必要もあると思います。もし誤報だったりしたら賞を取り上げることになってしまいますしね。検証はしっかりしますよ!

キー局全滅して、仕方なくローカル局に入ってくる子はアナウンサー以外は殆どいません。そしてローカル局で若干活躍したからってすぐにキー局に転職なんて、、、
すごい夢のまた夢みたいなシンデレラドリームですね。

私は砂田さん=中村倫也さんみたいな記者となら一緒に仕事がしたいです。相手の立場に立って深い理解を持ち、取材に当たってくれる人なら信頼できるので採用したいです(^^)
ただ砂田さんも上の指示に折れちゃいましたけどね。

あのデスク、部長、局長、、、ダメだな
ああいった奴らばかりと思われるのはホントにイメージダウンに直結しちゃう。風評被害(^^)
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