キヲシ

ファッション・リイマジンのキヲシのレビュー・感想・評価

ファッション・リイマジン(2022年製作の映画)
3.0
ファッションには明るくないので、このブランド「MOP(マザーオブパール)」については全く知らなかった。ファストファッションの弊害についてはドキュメンタリー映画「トゥルーコスト」が詳しい(堆く積まれた古着の山、加工場の廃液、バングラデシュ女工の告白涙…)。サスティナブルな商品展開を決意したエイミーが実家を訪れる。農場、馬、発電用風車に囲まれた田舎で自給自足の生活を送る両親。彼らが「それぞれがやれることをやればいい」的なことを言う。協力してくれる生産者を訪ねて行くウルグアイの羊毛農場。門から遥か彼方に見える建物が立派で、ちょっと麻薬王の邸宅を連想してしまった。化学薬品不使用などエイミーの改革に賛同するこの農場主ペドロや他の製糸工場、加工場の主たちは、みないい顔をしてる。ただでさえタイトなスケジュールで動いているはずなのに、なんと無謀な取り組みかということがよくわかる。洋服って昔からの工程や流通から生み出されるので本当複雑なことになってるなあ。キャサリンハムネットというデザイナーは、あーそういう存在なのかあ。ファッション業界に集まる若く美しいモデルたち、いかにもハイソな人々、うーん、いわゆる意識高い系かあ…と、身構えてしまったし、この映画自体ブランドイメージ展開の一環という面がなくもない。しかし、田舎の苛められっ子だった少女の成功譚は悪くない。揚げ足取ったりケチつけるよりは、それぞれがやれることをやればいい。
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