烏丸メヰ

変な家の烏丸メヰのレビュー・感想・評価

変な家(2024年製作の映画)
2.5
格安売家の“奇妙な間取り”の存在を知った配信者は、放送を盛り上げるためにその家に深入りし、建築士とともに間取り図を考察していくが……

簡潔に言ってしまうと、雨穴さんと雨穴さんの大切にしてきた作風が好きなので★2です。
映画単体としての面白さで+0.2。

映画としては分りやすく、作り込みの複雑でない、怖がらせるべくして怖がらせてくるライトな若者向けホラー。
噛み砕きやすさ、話の早さ、ルックの怖さは、イージーモードの『残穢』といった感じ……はまろやかに言い過ぎか。
「びっくり」と「怖い」の区別がつかない人が作った、「びっくり」と「怖い」の区別があやふやな人、それらを両方同じ感情で受け取る人、同じ感覚で盛り上がれる若者向け。
雨穴さんと原作の知名度を冠した、中身別物のお化け屋敷的な印象(原作知らない人や、取り敢えず怖いもの見たさの子供には丁度良い和風ホラーかも)。

作り込み<雰囲気とジャンプスケア、な作風でそこかしこにツッコミ所は感じるものの、POVや主演の俳優陣の演技はこの手のJホラーにある“アニメ臭さ”が無くて観やすく、似たような天才肌の変わり者が身近にいるので、佐藤二朗さんが特にリアルに感じた。

“間取りが怖い”ホラーの着地点として、間取りとは別の質感の恐怖を出したり、怖い間取りに野暮ったいカタルシス的な含みを持たせる演出は好みではない。

ラストへの展開や着地は前半とは「謎」のジャンルが変わるので、そこにノれれば・楽しめれば全編通して面白が途切れない。
(春休みなのもあり観客には映画館の使い方が分かっていない中高生(普段YouTubeを利用し、その延長として劇場版でワーキャー盛り上がる)くらいの層が多かったが、映画の温度としてはそのくらいの若者が一番楽しめると思うので興行的には吉と出ている気はする)

雨穴さんの作品は『何かおかしい』や各オモコロ連載等で触れてきたが、私の感じる最大の魅力は
“怪しさや違和感”を主軸にその“怪しさ・違和感”の描写や謎に淡々と終始する
という「多くを語らなさ」だと思っていたので、正直映画からは和製『CUBE一度入ったら、最後』や“村シリーズ”のような、“いい話”や“悲しい逸話”で観客は感化されると思われてる感丸出しの
「そういうのいらない」
「ウケると思って見せ方広げ方が野暮なんだよ」
を感じてしまった。
個人的に雨穴作品に求めていないカタルシスや小道具のルックの必然性の無さ、意図的怖がらせ(雨穴作品の良さは「怖がらせに来る」ではなく「読み解くと怖い」だと思うのに)がかなり鼻につく。

※笑いどころはネタバレとしてコメント欄に
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