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プリシラのtakのレビュー・感想・評価

プリシラ(2023年製作の映画)
2.9
俺が恋焦がれた「ヴァージンスーサイズ」や
「ロストイントランスレーション」のソフィアコッポラはもはや何処にも無い。ヴァレンシアガとシャネルの広告のような映画だ。

バズラーマンの映画はエルヴィスが
ブルースに取り憑かれ、当時黒人だけの音楽だったR&Bやブルースを白人の一般大衆に普及し大スターになり、没落しつつも伝説になるまでを丁寧に描いた作品だったが、ここで語られるのは彼がドイツ駐留時に出会ったプリシラの話。超有名人との恋愛というとかのマリーアントワネットも想起させるが、ここでは彼女の映画によくある抑圧された世界からの解放は無い。解放されたと思ったらエルヴィス自身が、大スター故のプレッシャーや心の弱さ、とりわけ母を失った心の傷を彼女の存在に求めるという抑圧が待っていたということだ。

まあ、あの赤ちゃんリサももうこの世にはいないし、ライリーキーオの弟も自殺してしまったし、プレスリー自身も心臓疾患で若くして亡くなってしまった。丁度昨日、同じように呪われた一族の話でかつスーパースターの話である「アイアンクロー」がそんな話であった事もあり、プレスリー家も家父長制という呪いにかかってしまったアメリカの一族として心に留めておきたい。
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