HAYATO

市子のHAYATOのレビュー・感想・評価

市子(2023年製作の映画)
3.8
2024年127本目
杉咲花さんが日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞した話題作
大阪で恋人の長谷川と慎ましく幸せな日々を送る市子は、プロポーズを受けた翌日突如失踪。途方にくれる長谷川の前に現れた刑事は、市子という女性は存在しないと話す。長谷川は市子の居場所を探す中で、彼女の人生にまつわるさまざまな事実を知ることになる。
原作は、監督の戸田彬弘さん率いる劇団チーズtheaterの旗揚げ公演作品として上演され、サンモールスタジオ選定賞2015で最優秀脚本賞を受賞した舞台『川辺市子のために』。
『愛にイナズマ』の若葉竜也さん、『ちはやふる』シリーズの森永悠希さん、『正欲』の渡辺大知さん、『ビリーバーズ』の宇野祥平さん、『母性』の中村ゆりさんらが共演。
主人公・市子が忽然と姿を消すところから始まるミステリー仕立てな始まりが興味深く、物語にぐいっと引き込まれる。
愛したはずの相手が誰かわからなくなるというのは『ある男』に通じる設定だ。
市子という人物は、彼女に関わった人々の証言によって徐々に姿を現すが、その断片的な情報は全ての真実を語り尽くすことはできない。
男性優位な社会構造の中で尊厳を犠牲にしながら生き抜くことを強いられた市子。彼女の痛みや苦しみに胸を締めつけられると共に、そのような社会に抗い、自分自身の力で生き抜こうとする強さをも感じた。
HAYATO

HAYATO