HAYATO

スケアクロウのHAYATOのレビュー・感想・評価

スケアクロウ(1973年製作の映画)
3.9
2024年165本目
殺伐としたアメリカを旅する2人の男の友情を描いたアメリカン・ニューシネマのロードムービー
路上で出会った短気な男・マックスと陽気な青年・ライオン。6年の刑期を終えて出所したばかりのマックスは、洗車店を始めるべくピッツバーグへ、5年間の船乗り生活を終えたライオンは、一度も会ったことのない我が子に会うためデトロイトを目指していた。正反対な性格の2人は出会ってすぐに意気投合し、一緒に行動することになるが……。
監督は、『哀しみの街かど』のジェリー・シャッツバーグ。
主演は、ジーン・ハックマン&アル・パチーノの名優コンビ。共演に、『スティング』のアイリーン・ブレナン、『ディア・ハンター』のルターニャ・アルダなど。ジーン・ハックマンの実兄・リチャードも出演しているらしい。
第26回カンヌ国際映画祭においてパルム・ドールと国際カトリック映画事務局賞をダブル受賞。
千葉真一主演の『十字路』と『冒険者カミカゼ -ADVENTURER KAMIKAZE-』でモチーフにされるなど、後世のテレビドラマ・映画に影響を与えている。
題名の「スケアクロウ(Scarecrow)」は、日本語で「カカシ」、「みすぼらしい人」、「痩せ衰えた人」の意。
アメリカンニューシネマに分類されるだけあって、背景は退廃的であり、ドキドキワクワクするような大きな展開があるわけではないが、味わい深い演出とセリフが散りばめられた作品である。
マックスはとにかく短気で暴力的な人物。一方のライオンは陽気で温和な人物。そんな対照的な2人がお互いの欠点を埋め合わせるように友情を育んでいく姿が印象的だった。より良い関係性を築けたかに思えた「社会に受け入れられないハミ出し者の2人」を待ち受ける未来は、切なくて悲しい…。
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