このレビューはネタバレを含みます
ラストやタイトルの解釈、会話劇、カメラはたくさん語られているのでそれ以外で。
わかり合うことの難しさを表現しつつ、わかり合えない中で他者とどう関わるか、その可能性を提示してきたのがこれまでの濱口作品だと私は捉えており、人間を諦めていない感じがして好きだった。一方で本作はわかり合えないまま終わっており、これまでの作品とは異なる印象を受けた。「上で行われたことは下に流れてくる。上の人には責任がある」という区長の言葉は為政者や経営者への批判にも聞こえる。濱口監督、何か嫌なことでもあったのかなあ。
説明会の最後の質問者の声は東出昌大なのか？あの世界に彼がいると想像すると面白い。
タイトルだけでなく音楽が突然止まるところもゴダールっぽい。薪割りの様子をカメラが遠くから傍観している感じは黒沢清のよう。『カリスマ』を思い出した。
「あそこは鹿の通り道なんだ」「やり過ぎたら、バランスが壊れる」最近ふとした瞬間に巧のあの喋り方を真似している。
