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悪は存在しないの1207noのネタバレレビュー・内容・結末

悪は存在しない(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

【色んな考察を比較したくなる】

観た方の9割は同じだと思うけど、ラストで唐突に置いていかれた。笑

その上で申し訳程度に自分なりの考えをまとめてみました…。端的にまとめると「理性を欠くと悪に転落する」。


まず最初は、オレンジのダウンジャケットの人(グランピング説明会男性)に対してこんな想いを馳せ、「悪」について考えた。↓

「なんか悪い人じゃないけど、ズレてるんだよなぁ。
薪を割った喜びとか自身の心境とか、確かに歩み寄りを感じて良い人なんだけど、村の人からしたら知ったこっちゃない。
移住とかも勢いなだけ。空論と現地に住む人のリアルさには差があるから、感覚的に相入れず共存はできなそう。」

…という訳で、彼は決して悪者じゃないけど、受け入れてもらえないだろうこともまた事実で、村側も悪くない。

(主人公の服の色が自然に馴染んでるのに対し、この人の服は派手でめっちゃ浮いてるのも、その象徴ぽかった)

だからまぁ排斥されるんだろうな〜しゃあなしですな〜とは思った訳ですが。


え、締め殺された?????????


急な展開にびっくり。排斥の仕方にも限度があるというか、そこまできたら流石に別の意味合いがあるんだろうな。と思い、またぐるぐる考え始める。

これは私の想像ですが、

あの娘が死ぬ(あれって死んだんですか?)出来事が、
主人公(便利屋男性)の理性を欠かせるトリガーになったのではないかと。


オレンジ男とはなんとなく相入れないながらも歩み寄っていた(水汲みに連れて行ったりタバコを一緒に吸ったり)のは、
主人公の「中立であろう」という考えによる行動だと思うんです。
開発に対してもかなり中立的な立場に立ってたし。

で、それって、本心で良い人なんだとか冷静な人とかなんじゃなくて、
「中立に立った方が正しいからそうしよう」と理性的に考え、意識的にそう振る舞ってたんじゃないかな。

だけど娘が死んで理性とか全部飛んで、歩み寄りとかそういうものが崩壊。全部どっかいけと投げやりな気持ちになった…。


ここで整理したいことは
①分かりあおうと互いに努力はしてた
②その上で分かり合えなかった
→だからこの排斥は悪ではない

つまり、【真摯に考えた最善の選択なら、悪じゃない】

だから排斥は悪じゃない はず。だった。

でも殺すのは確実に理性の範疇から飛び出た衝動。排斥するにしても、方法がある。


私としては先ほども述べたように、理性で向き合い考え、その上でとった最善の行動なら「悪ではない」のだと思った。

となると、主人公の行動は「悪」なのでは、、、?


EVIL DOES NOT EXISTは、
「NOT」の文字だけ赤なのですが(恥ずかしながら友達に言われて気づいた)、
赤文字の強調は、このことを指す危険信号なんじゃないか…?と思いました。

つまり、ちゃんと考えて一生懸命選択してたことは悪じゃなかったのに、
そっから吹っ切れて衝動で行動したら、一歩踏み外して悪になってしまうよ ということ。

悪者じゃないはずなのに、悪者への転落は気を抜いた一瞬で起こってしまう。だから理性を欠かさずに考えろよ。と。



え、そんな話なの???わからんけど少なくとも私はそれが一番しっくり来ました。理性って大事だし。トンチンカンな気もして怖い。

他の有力意見があったら聞きたいです。
以上。
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