このレビューはネタバレを含みます
ただ普通の人でした…
ウラチャチャ皇宮!
ウラチャチャ皇宮!
…という掛け声が耳に残っているけど、なかなかにシリアスな作品だった。
最初は、ディザスタームービーに思えるけど、人間の内面を抉りまくったヒューマンドラマだったかな。
極限状態での人間の心理や行動、人格の変貌や同調圧力、その他諸々…。
まず、設定の時点で勝ってる。
(セコいとも言えるけど)
ゴジラが襲来して街を破壊していくのがマシだと感じるぐらいの荒れ果て具合。
見渡す限りの絶望。
世界が終わってしまったら、こういう景色になるんじゃないか。。
そのような中で、ほとんど無傷で唯一残ったマンションが舞台。
部屋の食料を確認する住民と、押し寄せる近隣マンションの人々。
助けようとする人と、追い出そうとする人。
イ・ビョンホンをリーダーにするところから中盤ぐらいまでは想定の範囲内で話は進む。
そこから先の後半の展開がより良かった。
そのストーリーも然ることながら、今作はやっぱりイ・ビョンホンの存在がとても大きい。
まずは見た目。あんなイ・ビョンホンは見た事がない。
今までは、良い役だろうが悪役だろうがシュッとしていて綺麗だったのに、今回は珍しく汚らしいというか、野生感溢れるというか。
上手く言えないけど凄かった。
そして、もちろん演技も。
最初は頼りなさそうだった男が、住民代表に選ばれ、リーダーとして指揮をとっていくうちに変わっていく様を絶妙に演じる。
カリスマ性を見せつつ狂気的な一面を持ち、それでいてどこか人間的な部分も垣間見える。
それらが全て合わさって迎えるラストは引き付けられた。
そのイ・ビョンホンと対照的な立ち位置で、重要な役だったのがパク・ボヨン。
今作では、パク・ソジュンと夫婦役を演じるが、だんだんと変わっていくイ・ビョンホンやパク・ソジュンを始めとする住民たちと違い、最後まで変わらない自分の信念を貫く。
簡単に言うと、善の塊みたいな感じ。
そんなパク・ボヨンがマンションの住民たちのことを「ただ普通の人でした」と表現するところが、全てを語っているようで強く記憶に残った。
というか、今作は最初からみんな汚れていてボロボロの見た目なのに、それでも可愛すぎるんよパク・ボヨン。