マカ坊

Saltburnのマカ坊のレビュー・感想・評価

Saltburn(2023年製作の映画)
4.3
監督・脚本家としてのエメラルド・フェネルがどんな作家なのかが正直まだよく分からないけども、観たかったバリー・コーガンがそこにいた。

総じて空虚な物語の中、要所でキマるショットの不気味な冴えとバリー・コーガンの立ち居振る舞いはまさに好個の例。地に臥したイカロスたるジェイコブ・エロルディの"正の神秘性"との対比も効いている。ロザムンド・パイクもこの手の役がいよいよ堂に入ってる。アクセントも気に入った。

単純なブロマンス映画(死語?)ではないが、やや蛇足とも思える種明かしを受け入れた後でさえ、オリヴァーの"寄生"の根源を、資本論的なヴァンパイアリズムにのみ求めるのも少し違う気がする。

一方で、「ザ・メニュー」や「逆転のトライアングル」など、それこそ「サクセッション 」のフィナーレと共に一旦ピークが落ち着いた観もある、"上流冷笑モノ"とも異なる塩梅の語りには、画一的な鑑賞を容易には認めない作家の気概のようなものを感じたりもする。

バリー・コーガンとエメラルド・フェネルの次作への期待も高まる快作にして怪作。
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