Frapenta

アメリカン・フィクションのFrapentaのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
4.8
素直にブラックコメディとして最高だった。こんなにこのジャンルで笑ったのは「ホワイトボイス」以来。ザボーイズにも通ずる現代のブラックさをここまで体験できるとは思わなかった。また、本年度アカデミー賞脚色賞受賞なだけあって、構成も巧み。メタ的演出による風刺がとても鋭い。映画業界にグサっと刺さること間違いない。

当事者が呆れてしまうほどにステレオタイプがウケてしまうのはブラックコメディあるあるで、今作もそれが面白い。ただ現実には絶対に起きてほしくないのだが、映画を観れば何となく今作の通りになってしまっているのではないかというのが悲しいところ。
一番好きなシーンはレストランでのムショ上がりの監督との会食のくだりだ。まず"黒人"を演じる上であえて遅刻するのが面白い。ライターだけあって人となりの解像度が高く、実生活に応用してしまうのが機転効いてる。そしてムショ上がりっぽい口調で話し、サイレンを聴いて逃げ出した(実際は母が運ばれたかと勘違いして心配しただけ)ために本物のムショ上がりと勘違いされてどんどん"黒人"として成功の階段を登ってしまう。非常にテンポ良く進むし、どんな抵抗をしても虚構のバックグラウンドのせいで成功してしまう。題名を****にしてウケてしまうのも面白過ぎた。

苦笑いをしながら楽しめる良作。字幕がノイズなので早く直して。
Frapenta

Frapenta