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異人たちのtobioのネタバレレビュー・内容・結末

異人たち(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

お父さんが、あのとき部屋に入らなくてすまなかった、と謝るとこで泣けた。アダムも、それで救われたと思う。
親に甘えたかった、反抗したかった、いろんな話をしたかった、子どものアダム。がんばって一人で生き抜いて大人になったけど、そのために、心の中に封印したものがあった。そのわだかまりや思いを解き放って、楽になれたと思う。

お母さんがアダムに、ハリーを大事にしてあげてって言ったのは意外だった。ハリーは異人だとわかってるはずなのに。
もしかするとアダムも死んでいるのか、またはもうすぐ死んでしまうのか。
ラスト、2人が星になるところでよけいわからなくなった。

両親との別れのシーン。ふたりとも、即死だったのかと気にしていた。
お父さんの声が先に聞こえなくなって、お母さんが「見えない」って言い出したのは怖かった。事故の再現?

昔見た大林宣彦の映画の印象が強すぎて、どうしても引っ張られてしまうところもあった。
例えば、アダムはやつれていかないみたいだなとか、タイムトンネルはどこだろう、とか。
最後のすき焼きにあたるファミリーセット。どんな食事が来たのか見たかった。大林版を観た後は、どうしても自分も食べたくなって、すき焼き屋を探して行ったことを思い出した。
情緒的には、夏の浅草が舞台の大林宣彦版が沁みたけど、過剰演出で笑えるところもあったので、今回の異人たちの方がちゃんと観られた。取り戻したかった親との交流もとても切実に描かれていたし、ハリーとの関係も良いものだった。
しかし、ベッドシーンは観るのがしんどかった。男同士だからではなく、詳しく描かれているものは、男女のベッドシーンも苦手。今回はインティマシーコーディネーターがついていたという。俳優のためにいいことだ。全ての作品でそうなってほしいと思う。
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