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深海レストランのnekokatzのレビュー・感想・評価

深海レストラン(2023年製作の映画)
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最近の映画記録、TIFFの4日目にみた「深海レストラン」のこと。アニメーション部門の一本で、中国のCGアニメ。監督は「西遊記 ヒーロー・イズ・バック」のティエン・シャオポン。

けっこうスゴイ作品ですね。映像は確かにビックリ。そしてモヤッとする所も。

主人公の少女シェンジュは、両親が離婚した後、父が再婚。だが実母が忘れられず、寂しさの中にいる。
まあ、この序盤で「西遊記」からの進歩を感じる。表情やシェーダーの質感など隔世の感。

家族での客船クルーズの最中、海中から実母の声が聞こえるシェンジュ。
母の手がかりを持つらしい海の精霊と出会うが、嵐の海に投げ出され…という導入。
海中の巨大潜水艇「深海大飯店」に辿り着く。
海のクリーチャーが集うレストランには、ナンヘ支配人という謎の男がいる。
千と千尋的な、「異界で児童労働」の展開に。

この2幕の深海レストランが、とてつもないハイカロリー。
そしてナンヘ支配人のキャラが、かなりカトゥーン的というかギャグ漫画的な、表情も動きもデフォルメ満点。当然キャプチャでは無理なので手付けと思うが、この過剰さはディズニーからも出てこないと思う。

このナンヘ、前作西遊記の悟空を発展させている。
中盤はさまざまな海の生物キャラも交えて、かなり過剰な画面でのドタバタが展開する。
監督は宮崎駿に言及しているようで、千と千尋やポニョからの影響がけっこうあると思った。

このレストランパート、CG技術的には問題を感じない一方で、ハイカロリーを演出的にコントロールできてないな、と思う箇所もしばしば。「ここまでしなくても同じシーン作れるのでは?」みたいな。
自分は序盤と終盤の現実パートの演出の方が好み。

そして終盤は意外な展開。正式公開未定だし軽くネタバレするが、「ライフ・オブ・パイ」風の決着。
自分は半分心が動いたが、半分は「ああ、そっちか」な感じ。

この監督、前作もラスト10分にカタルシスを作ってたなと思い返す。中国CGアニメ界の山崎貴になるのかも。
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