期待していただけに、これはかなり低評価をつけざるを得ない。味付けが単純すぎる。
まず地理的制約で隔たれた二人が時を超えて邂逅するというストーリーは、先日公開されたパストライブスに新しい。
パストライブスが、韓国人/米国人として生きることのアイデンティティや、揺らぐ心、葛藤、人生の有限性ついてありありと描けていたのに対して、本作は描けていないように思う。
台南育ちと日本の雪国育ちとしてのアイデンティティの違いなどはあまり触れられず、彼女との出会いが人生にどのような影響を与えたのかということについてもやや飛躍がある。そもそもAmiの行動原理なども釈然としない部分が多く、真相が明らかになったときに「そういうことね!」感が全然ない。
せっかく台湾人と日本人の恋を描くのであれば、言語的な壁で伝わらなかった恋心や、人種的葛藤、地理的に阻まれたからこその恋愛などを描けばよかったのに。
ただ美しい映像に終始していて、人間ドラマとして心に響いてくるものはあまりなかった。