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風よ あらしよ 劇場版のyayouのネタバレレビュー・内容・結末

風よ あらしよ 劇場版(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

「家にあっては父に従い、嫁しては夫に従い、夫が死んだ後は子に従う」
素晴らしい父であり、優しく正しい夫であり、いつも自由にしてくれ敬い接するのなら、こうやって生きるのも幸せではあるだろう。自分で全てを決めることも大変だから。自ら決断するには、知識が必要だ。だけど、女に勉強は求められていない時代。だったら従うしかないが、物のように扱われ、自由も選択もないとしたら。
男が女がと主義主張がでてるくるのは、そういう時代だから。
たいてい、大正時代の映画をみると、つらいしかない。もうそんなイメージがついてしまっているけど、それでいいのかな?
価値観や制度は、今だいぶ変わったと思うが、精神面や実際の社会生活ではどうだろうか?100年前とあまり変わってないのかもしれない。


結婚相手から逃げ出した野枝。それは当然!あんな男最悪。頼っていった辻先生、吾郎ちゃん。優しいのだけれど、結局は他人に興味がなく自分しか愛せない。そして訳わからない尺八の旅にでたいと言う浮世離れ感。。

吉高さん演じる野枝が舌足らずなのは、幼さを出したかったのだろうか。野枝さんがそうだったのだろうか。瑛太演じる社会主義者の大杉は吃音があったようだ。
二人とも主張する姿は様になりしっかりと訴えかける。
野枝の憧れ松下奈緒さんのらいちょうも美しくて素敵だった。が、権力には勝てず疲れていく。。


前半は強くて面白く興味深かったのに、途中から男女の情事になっていく。言ってることと、違うやんけ。結局は色恋なんか?
自由恋愛の実験て何ぞや😡偉そうな言葉を並べておいて、スケベなだけ←全くそう、よく言ったよ大杉の妻👏
おまけに金💰の話。結局ヒモやったん?
と、これはコメディなんか?と見ながらわりと心の中で毒はいていた私…

しかし、関東大震災が起きてからは、例の如く自警団の取締、国家権力の大義名分の件がでてくる。これは大正時代を描くに避けては通れない。

急にでてきた玉置玲央さんが優しくて、平安時代から大正時代に来てしまった、吉高さんと仲良く踊っているのが、不思議な気がした。

私が子供のころは良妻賢母という言葉があったが、今は死語だろう。
物が少なかったからだろうが、昔の人は(私の母ぐらいの年齢も)洋裁も和裁もできて、料理もできて、もちろん向き不向き、得意不得意もあるけれど、生きていく上でのすごい技術だと思う。だから、家にいて家のことをするのが良い悪いではなくて、そこに自由や自分で決める選択がなかったことが問題なのだと思う。


エンディング、野枝さんの写真が写っていた。可愛らしくてしっかりとした美しい人だった。実際のお姿がラストによくでてくるが、たいていご本人に似ていて役者さんたちすごいなぁと思うことが多い。しかし野枝さんは吉高由里子さんとは似ていなかった。だからという訳ではないが、野枝の役は吉高さんでよかったのだろうか?
でも私は、吉高さんだからこそこの映画を見たのだから、よかったのだろう…


 原始、女性は太陽であった
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