歩葉戸路素

ジェヴォーダンの獣 ディレクターズ・カットの歩葉戸路素のネタバレレビュー・内容・結末

-

このレビューはネタバレを含みます

昔、小学生の頃にCS放送か何かで観た
カッコいい登場人物が正体不明の化け物と闘うモンスターパニックと事前情報あったので
『ザ・グリード』『トレマーズ』『UMAレイクプラシッド』みたいなの期待してたら
難解で死ぬほど退屈だった記憶…
なんであんな意味不明なB級映画が劇場公開されてんの!?って気になって劇場鑑賞してしまった

そして評価は一転
……かなり面白かった!!!
筋書きはモンスターパニックなんだけど、面白さはそこじゃ無いというか…やはり難解すぎて中々説明し辛い
この映画をざっくり要約すると
『中世フランスで起きた未解決事件『ジェヴォーダンの獣事件』の真相は吹き荒れる啓蒙思想に傾向する国家を転覆させようとする闇の秘密結社が起こした陰謀だった!そのカルト集団を打倒すべくローマ教皇側が立ち上がる。果たしてフランスの共和主義近代化改革の未来はいかに…?』
…という物語
こんなの小学生が理解できるわけねーし、理解できても面白いとは思わないだろ!!
しかもそこにアフリカやアメリカ先住民族が関わるというややこしさ!笑
でも超面白い!

この映画プロットは『謎の怪物を倒すべくハンターを集めて狩らせるも失敗、地元の貴族と学者と狩人の3人が怪物退治に奮闘する』というもので
まんま映画『ジョーズ』を模していて凄く入り込みやすかったりする
ハンター達の過剰に派手な格闘技がカンフー映画を彷彿させて面白いし、時代背景無視したヘンテコ兵器も沢山登場するので最高
マーク・ダカスコス演じるインディアンの狩人マニ様が最高にカッコよくて彼のアクションを見るだけでも鑑賞価値アリ!

後半明かされる陰謀論じみたミステリー展開も面白いしラストの貴族社会が滅び近代化していくテーマも深くて感慨深い
モンスターパニック要素もふんだんにあるし
これ大傑作映画じゃね!?と思うのだが
やはり佳作止まりかな…?
この映画一つ致命的な欠点があって
主人公フロンサックとモランジアス嬢の恋愛がかなり退屈で個人的なマイナスポイント
しかも劇中の大半をそのロマンスパートが締めてたのもかなり辛め
他のレビュアーも言ってる通りモランジアス嬢を脇役にして謎の娼婦シルヴィアをヒロインにすべきだったと思った
それともフレンチノワール映画如し男同士の友情に焦点を絞っても良かったかも

あとポスターにある主人公たちの衣装クッソかっこいいんだけど
冒頭以外で着てないの勿体なかった…
それから謎女シルヴィアが彼岸島の雅様ごとし扇子で闘うのも超良かったけど戦闘シーン2秒ぐらいしかなかったの残念
恋愛描写削ってハチャメチャバトルもっと見たかったな〜

怪物とはその時代の人間の恐怖を反映させた鏡のようなものなんだなぁとこの映画観て思った
吸血鬼(ペスト)魔女(反キリスト)空飛ぶ円盤(冷戦)って感じに
ジェヴォーダンの獣も啓蒙思想で滅ぼされる貴族の恐怖が具現化した幻だったのかも知れない
歩葉戸路素

歩葉戸路素