歩葉戸路素

レイダース/失われたゾンビの歩葉戸路素のネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

久々に鑑賞
Z級映画というモノを考えさせられる凄まじい怪作
個人的にかなり好きな逸品

ビデオパッケージ
「第15回パリ国際ファンタスティック映画祭で上映され、その衝撃的な内容にパリのファンが狂喜して舞台にかけ上がり、映画の中のゾンビと格闘を始めたという伝説の映画。」

冒頭10分間、物語の本筋に一切関係ないテロリストvs SWATの攻防戦
中盤のテンポゆるゆるな脱力茶番サスペンス
終盤に始まるゾンビvsレーザー光線の大バトル

正直、支離滅裂な構成で眩暈がしてくるのだが…
なんでこんな映画撮ったの!?と疑問
実はこれ、我らがZ級映画界の巨匠ブレット・パイパー監督の没フィルムをツギハギして再構築して新規フィルム混ぜて完成させた映画らしい!!笑
つまり…「ニコイチ映画」だった!!?

序盤の長尺アクションが全く物語に関わってこない展開がとにかく斬新で、ヌーヴェルバーグやタランティーノみたいな養殖では味わえない天然の「脱構成」「脱因習」が味わえる
タランティーノは確実にこの手の映画を研究し尽くしているようで「フロムダスクティルドーン 」の前半のクライムムービーから後半のモンスターパニック映画に変貌するという連続性の無い展開とかまさにそれ…!
その後も意味不明すぎる展開だらけだが
中でも少年ジョナサンくんが市販のレーザーディスクを弄ってたら“偶然にも”対ゾンビ用の「レーザー光線銃」を発明してしまった!
という書いててワケワカメな展開が最強
キテレツ大百科かよ!!
初見時は頭がついて行けなかった…

ラストではこの光線銃で少年少女がゾンビと戦うのだが、光線銃のくっそチープな合成映像と効果音に既視感あると思ったら
ブレット・パイパー監督が後に撮るZ級恐竜映画「ダイナソー・ウォーズ」の光線銃とそっくりだったのに気付いた
この監督のチープな映像は実家のような安心感がある……

そして何よりこの映画を印象付ける一回聴いたら忘れられない
レイダース/失われたゾンビのテーマ曲
80年代のLAメタル風サウンドと共に
「死人がオレを追いかけてくる〜♬」と流れる歌詞の中毒性は異常
「あやつるのはマッドマン 夜の悪魔だ
もう逃げ場はない 踏みとどまって戦うのみ♬」
…って説明的な歌詞はひと昔のアニソンみたいで好き

死人が追いかけてくるってもゾンビの総数はせいぜい10体未満という少なさ!ショッボ(笑)
他のゾンビどこに行ったんだよ!?とツッコミたくなる
そう…「レイダース/失われたゾンビ」とは正に
レイダース(予算ケチった製作陣)による失われたゾンビを描いた映画だった!?(タイトル回収)

皆もこの映画を観て狂喜(狂気)して映画の中のゾンビと格闘しよう!
歩葉戸路素

歩葉戸路素