丽遥

天城越えの丽遥のレビュー・感想・評価

天城越え(1983年製作の映画)
3.8
田中裕子ヤバすぎ~…妖艶おきゃん聖母おねいさん全部やっててすごすぎる まるで泉鏡花に出てくる女みたいでもあり、伏見直江に繋がるおきゃんヒロインだったとも思うわ。

その一方で、まあ泉鏡花でもそうなんだけど、女性の客体化もすごかったなあ。まず登場シーンからして艶やかな長着と色襦袢から覗く白い裸足のアップがスローモーションで3回繰り返されるという。オーバーリップな口元やうなじ、大きく開いた胸元のクローズアップがカットで繋げられる。どれもこれも、女を分節して見てるんだよね。あと、靴擦れを処置してもらったり抱きつかれたり股間を触られたりと童貞殺しのエピソードが続く。

まるで謎のお姉さんは自分のためだけに存在してると思ってるようだけど、現実はそうではなくて、彼女は売春婦でどんな男でも客をとる。理想が壊れていくのをとどめようと少年は無我夢中で男を刺すけど、男が死んだところで現実は変わらない。田中裕子の失禁や逮捕時の顔色の悪さはそれを表すエピソードなんだと思った。失禁ガチらしくて、体を張るのが全てではないけど、すごい女優さんだと。逮捕される時の顔を隠す笠を振り切って報道陣に面を晒す演技もかっこよかった👏なのに、田中裕子が逮捕されていく様子を指くわえて見てる少年はやっぱり理想の女性に囚われてただけなんだなと。逮捕前と逮捕後のお姉さんを一貫した女性として接しないあたりやっぱりモノ化してるよなー

女性表象以外だったら、おじさんになった少年のボイスオーバーだから、当時の記憶には幻想も混じってたんじゃないかなと思う。あとテロップの入り方がちょっと実録っぽい感じあった
丽遥

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