Melko

幸せへのキセキのMelkoのレビュー・感想・評価

幸せへのキセキ(2011年製作の映画)
3.9
心が洗われた良い話。超ハッピーな気持ちになれた。

ジャケットは、なんだかしっとり系の感動話な感じだけど、
コメディ要素あり、シリアスな場面あり、
恋も、経営も、親子の衝突も、そして動物を通しての命についても
何でもありのてんこ盛り内容!!
監督の腕か、脚本家の腕か、場面の転換とセリフ回しが上手い。
無駄なく場面を切り替えて行って、一切間延びすることなく最初からクライマックスまで突き進む。

演者に語らせすぎず、且つ演者は生き生き画面狭しと大暴れする。

さびれた動物園の再建とオープンまでの話だが、その実、亡くなった妻の幻影や思い出から逃れられない男の再生と再出発の物語だった。
どうして妻が亡くなったのか、その詳細には触れられないが、主人公は
妻と行った店には入れない、妻の写真すらまともに見れない。明らかに立ち直れていない。
でも、子供たちのために、悲しさ、寂しさを心の奥に封じ込めて考えないようにしている。

そんな彼が、長男の嫌がるのをよそに、
動物園付きの家を買い、その経営と動物の世話に四苦八苦。
家族のために環境を変えて、新しい生活を…と思ってがむしゃらにやってきたのは、全部自分のためだった。
長男の気持ちがわかるなあ…

14歳って一番難しい時期。なまじ大人に近いから、悲しみを飲み込んで、聞き分けの良い子でいることを期待される。
でもやっぱり、自分のことを見てほしい。かまってほしい。話を聞いてほしい。
子供としては当然思うことで、健康なこと。どうやってそこを乗り越えていくのか教えてくれたのは、トラだった。
そして、その命をもって、ここから先の親子の在り方を教えてくれた。

スカヨハが男勝りな飼育員を熱演。
監査時のハプニングで、ライオンの気をそらせるために大きな声を出すところとか、爆笑
エルファニングがフワフワ純情系の田舎娘を好演
主人公の2人の子供たちもキュート
そして、主人公のマットデイモン
ボーンシリーズの、台詞少なめのドライな役のイメージが強くて、この映画の、
よく喋って口の立つ、子育てに奮闘するがむしゃら父さんが新鮮だった。

在りし日の妻と子供たちとの楽しい日々を思い返すように写真を見返し、
その幻影を泣きながら見つめる主人公に、泣けた。ああ、本当に奥さんのことが好きだったんだ、そんなに一途に愛されるなんて、すごいことだなあ、と。

動物園が無事オープンできて、ハッピーエンド!なのはそうなんだけど、
ほんとのハッピーエンドは、そこからの5分。とっても幸せな5分。

愛する人の思い出は、忘れるのでも、心の中にしまい込むのでもない。
一緒に、生きていく。そうすることができた時、本当の意味で、前に進める。
Melko

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