Melko

スヌーピーの大冒険のMelkoのレビュー・感想・評価

スヌーピーの大冒険(1972年製作の映画)
3.6
「僕自分が”飼い主”だなんて思ったことないよ。スヌーピーは友達なんだもん」
「友達だって、飽きることあるよ?」

「さよならなんて、嫌いだよ」

日本語吹き替えしかなかったけど、できればオリジナル音声で見たかったなぁ…
ポンコツおチビ軍団ピーナッツの面々の声、プロの声優さんは奮闘されてたものの、どうしても「ちょっとかわい子ぶってる大人」に聞こえてしまい…

ウザいなこいつ…と思っていても。
失ってから初めて気づく、その存在の大きさ

まさか、チャーリーブラウンの前にスヌーピーを飼ってた人間がいたとは…!
その女の子が入院し、寂しさのあまりスヌーピーに手紙を書いたところから始まる。
ピーナッツの面々と遊んでいてもなんだか空回り、みんなからウザがられてる感じのスヌーピー。そんな時に届いた、元飼い主からの手紙。
乗り物に乗ればスッと行ける距離、電車もバスも、どの交通機関もおまけに建物も、悉く”No dogs allowed(犬お断り)”のせいで、徒歩で時間をかけての移動。
そのペチャンコのちっちゃいカバンのどこに?ってぐらいたくさんの荷物を駆使して、道中挟まるキャンプだホイ。
四苦八苦の末にたどり着いた元飼い主ライラ。今度こそ一緒に暮らしましょう、約束よ、と提案するライラ。チャーリーブラウンのことが頭によぎりつつ、ライラを放って置けないので承諾するスヌーピー。
スヌーピー不在の間心配でたまらないチャーリーブラウン。だが帰ってきたスヌーピーは、出て行こうと…

半世紀以上前の作品、温もりしかない手書きのビジュアル。
オープニングでのキャラクター名の表示がキャラ毎に凝ってて素敵。
スヌーピーの話は結構シニカルってことを知ってたからある程度は覚悟して見たけど、シンプルな話で完全にお子様向けだった。
にしても、献身的なチャーリーブラウンに対比させるように中盤で登場しスヌーピーを苦しめるおかっぱ少女が全生き物の敵みたいな自己中加減だったので、ここは見てるのが苦しかった。早く逃げろー!ってイライラしちゃった。。
「あんたが来てくれてよかった〜残り物食べさせる犬が欲しいっていつもママが言ってたのよ〜」……昭和の時代、犬の餌ってそうだっただろうだけど、そうするために犬飼いはしないだろ!この少女が、首輪の代わりにしめ縄みたいなロープでスヌーピーの首と柵をつなぐ、無理やり風呂に入れて顔をゴシゴシ洗う、無理やり服を着せ、お茶会ごっこで注いだお茶、自分がスヌーピーの服にこぼしたのにスヌーピーのせいにする、など、なんだこいつ、と嫌悪感の募る仕上がり具合。犬を飼ってる方が見たら発狂するかもしれん。この子に比べたら、チャーリーブラウンは神様よ。

すったもんだあってハッピーエンド、良かったねぇ!と思ったら、ピーナッツらしいシニカルな締め方。やっぱそうだよねぇ。

あんなに苦しめられた「犬お断り」に救われるとは。嬉しそうなスヌーピーのお顔!
Melko

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