Melko

きんぴらのMelkoのレビュー・感想・評価

きんぴら(1990年製作の映画)
3.0
「君がマシューか」
「本名は、間(あいだ)に舟って書いて、間舟(はざま ふね)って言うの」

電波をジャックし、公共電波で流せないCM(葬儀屋、ピンサロ、ヤクザ…etc)のCMをゲリラで流すジャック団きんぴらと、取り締まる警察の攻防を描いている。
ありそうでなかったテーマ、演技派を多数擁する多彩なキャスト、なかなか面白くなりそうで…ならないまま終わった…なんとも半端な仕上がりに思えた。

ネット社会となった今だとテーマ的に合わないのかもしれないが、今の時代にリメイクするとどうなのだろう。もう少し味付け濃くなって面白くなりそうな。

バブルの香りがプンプンするのは、数が多いエキストラから元気と勢いを感じるからだろうか。マシュー’sバーのお客はみんな楽しそうだったもんな。

致命的なのは、仲村トオルが演じたメインキャラの午忘(ごぼう)のきゃらがあまりにナヨナヨしているせいで、なんならストーリー展開の邪魔しているのではとさえ思ってしまったほど酷いキャラだったことと、マシュー’sバーの店員 松本の棒読み演技。。
その代わりを1人で背負っていたように見えたのがマシュー役の大竹しのぶ。当時の年齢が自分に近いこともあり、若かりし姿はハツラツとして印象的。ヤクザの娘であるせいで、自分の人生がままならないことを悲観して川に入りずぶ濡れになって思いをぶちまけるシーンはさすが。
ただし、ストーリー展開的に彼女がヤクザの娘でなくても成立することや、明らかにスタントが吹き替えてるスケートシーンが特に意味なく何度も出てくること、大竹しのぶ本人のキャラと違いすぎるのか、明るく盛り上げながらDJブースに登場するシーンがどうしても無理してるように見えたこと等は結構気になった。

間一家の組のメンバー3人みんな味があって良かったけど、とりわけ吃音症持ち役の香川照之がいい味出してたなぁ。

登場するキャラが多いしみんなキャラが濃かったので、もっとうまくまとめられたらカルト的な作品になったのかもなぁなんて思ったり。バブルの日本をほんの少しだけ味わえるのがポイントかも。
一番笑ったのはヤクザ募集CMでのカチコミシーン。「早く(組長を)刺せ〜!(尺の)時間がない!」「息切らしてんじゃねぇよ、カッコよく刺せ!」は笑う。笑

私の世代には「地獄先生ぬ〜べ〜」のナレーションでお馴染みな来宮良子の声がたくさん聞けたことは、思わぬ収穫だった。
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