Laura

蛇の道のLauraのレビュー・感想・評価

蛇の道(1998年製作の映画)
3.5
90年代の空気を濃密に纏った怪作。悪趣味と言えばそれまでなのだが、いつもながら画作りの妙な几帳面さが魅力的。犯人が拘束されている廃倉庫から、そのままぬるーっと長回しで主人公たちが待機する隣の小部屋に移っていく感じとか。哀川翔主宰の私塾に集った、訳の分からない数式を一心不乱に解き続ける老若男女。ひとつのコミュニティなのに、街の中なのに、人がたくさんいるのに、実は誰も、誰とも通じ合ってない。犯罪者集団のなかにも絆などない。CUREにも回路にも滲む、黒沢清の人間関係に対するこの諦念は何なのか。
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