イチロヲ

団鬼六「やくざ天使」より 縄地獄のイチロヲのレビュー・感想・評価

3.0
亡き組長の遺言を守り、極道から足を洗うことを決意した娘(谷ナオミ)が、悪徳金融業者の策略に嵌められてしまう。闇社会に引き戻されてしまう女の悲哀を描いている、日活ロマンポルノ。

「立場の弱い者の身代わりとなった女が、男のサディスティックな愛憎を受け止める」という、いつも通りの団鬼六ブランド。日陰者を対象にした主従逆転の要素が用意されているが、本作では虐待する側がヤクザ者なので、同調しづらい部分がある。

演出面では、乳房を縄で縛り上げるときのノーカット映像と、ワイングラスで局部を隠すカメラワークが興味深い。しかしドラマ面では、予想通りのことしか起こらないため、早々と飽和状態に苛まれる。

谷ナオミの艶技は、「歌舞伎の見得」と同等のものとして捉えればオッケー。SM映画の定石を楽しむためのエンタメ作品という、割り切りが必要。
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