烏丸メヰ

クローバーフィールド/HAKAISHAの烏丸メヰのレビュー・感想・評価

4.0
お気に入り作品記録。
初めて観た時の衝撃は忘れられない。
観た事の無かった吹替版を観たので改めて記録。

日系企業に勤めるロバートと兄のジェイソンは、出世と結婚を控えた幸せな兄弟。
仲間達の集まったロバートの送別会でお別れメッセージ撮影を押しつけられたマヌケなハッドがカメラを回していると「それ」は突如起こったーー


アメリカ軍、セントラルパークのカメラ、等の文字列から始まり、ロバートの旅行動画とそれに上書き録画された若者達のパーティーが映し出される冒頭から即座に「ファウンドフッテージである」事を理解させる
“不穏なスタートだが見せられるものは何の変哲もない”
という導入からして良い。
そこから『ミスト』や『宇宙戦争』の系譜とも言える大規模で得体の知れない混乱を、小規模なハンディカムの一般市民目線で捉えきるといった見せ方の面白さ、しかし決して単なる逃げ惑い映像ではない“カメラの目線だからできる視覚効果”の面白さもある。

小規模なカメラで小規模な出来事(事件取材やお化け屋敷探検の中で起きている撮影者の恐怖等)を捉える、というのが臨場感やリアリティを狙ったPOVの得意分野であるが「小規模なカメラで大規模な出来事の一角を捉えた」という手法だからこそできる、ただただ翻弄されるしかない主人公らとスケールの大きな異常事態の臨場感がとにかく良い。
(ビデオドラマ『戦慄怪奇ファイルコワすぎ! 』の後半もそうだが“低予算POVなのにやたらと話のスケールがバカでかい”みたいなのが個人的に好き)

主人公ロバートの勤める日系企業にかなり細かな設定があるのも番外編的な面白さとリアリティがあり、映画外にも楽しめる仕掛けがあるメディア展開も良かった(※映画だけでは楽しみきれない、ではない。これもまた邦画『ノロイ』にも同じ良さがあった)。

パニックの中でわけも分からず右往左往しながら生き残ろうとする民間人の記録なので、事態の細かな説明がなされない所と、かなり画面揺れがあるので、好みが別れるだろうし鑑賞しにくい人は一定数いるかも。

最近新聞のテレビ欄で「あ!今日クローバーフィールドが放送するぞ!友達に教えたろ!!」と思ったら『クラーケンフィールドHAKAISHIN』だった。んもう。
烏丸メヰ

烏丸メヰ