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アメイジング・グレイスのヒデのレビュー・感想・評価

アメイジング・グレイス(2006年製作の映画)
3.8
現代でも歌い継がれるアメージンググレースの誕生秘話を映画化。誕生秘話というより誕生の時代背景である奴隷制度廃止のために戦った一人の政治家の話である。過去の過ちを悔い改め神に感謝の気持ちを捧げる賛美歌アメージンググレース。作詞したイギリスのジョンソン・ニュートン牧師は、自身が過去に奴隷貿易の貿易船船長で富を築いた過ちを悔い改めるため懺悔し神に身を捧げる事を決意し歌を作成した。牧師は、奴隷貿易の廃止を廻り当時若干17歳でケンブリッジ大学、21歳で国会議員となった新進気鋭のウィリアム・ウィルバーフォースに、反対運動リーダーとして改革を進める事を進言する。ウィルバーフォースのイギリス奴隷制度廃止をめぐる感動の実話を描いた作品である。奴隷制度を嫌うウィルバーフォースが、東インド会社の闇で行われる奴隷貿易の実態を知る。そこには人権など無視された人々の扱いが行われていた。イギリス経済は奴隷により支えられていると正当化する世論。そんな世の中を変えようとウィルバーフォースの画策が始まる。当時の国会風景や議会事情・慣習が描かれており、法案を通すための舌戦や画策、戦略に見所がある。またウィルバーフォースを陰ながら支援していた友人でもあり同僚だったイギリス最年少首相ウィリアム・ピット(ケンブリッジ大学に14歳で入学した神童)との関係性も描かれており面白い。映像が当時のイギリスを再現している事もあり非常に暗く人物を判断するのに苦労する。また場面転換の説明がされ無いので時期や流れが分かりにくいのも残念。後半に行くほど面白さは増して行くので飽きずに観ていただきたい作品。タイトルであるアメージンググレースの使い所がいまいちなのは残念だった。
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