April01

プリティ・ウーマンのApril01のレビュー・感想・評価

プリティ・ウーマン(1990年製作の映画)
3.1
再見。昔はなんとも思わなかったのに今見ると本当に気持ち悪い。

見せ場のはずのラプンツェルごっこが寒すぎて見てられない。
リチャード・ギア演じる男の花束ひらひら子供っぽい演出にも狂気すら感じる。

せっかく高卒目指して自立しようと再起を試みるのに「もう離れない」ってどういうこと?覚醒台無し。それを言わせる中年男も自分の馬鹿さに気づけよ、と言いたい。

女からしてみれば、高級アパートメントをあてがわれてお手当てもらうのではなく真のパートナーになりたかったというところだと思うけど、それはいいとしても自分の人生について結局どうしたかったのか、よくわからなくしてしまってる。せっかく出会いによって得た反省と決意をひっくり返してるんだからどうしようもない。

自立するお金をサポートして女がやり直す手助けをするのが愛ある大人の男だと思うけど、ただ追いかけて引き止めて王子様気取って、女が求めていたハッピーエンドを与えたとドヤ顔されても、結局何がどうなったのか描いていなくてずるい。

女友達のキットの方がよっぽど好き。美容師学校に行くって無邪気にストレートに前進してるから。

きちんと描かずシンデレラストーリーで曖昧に終わったためにガックリするどころか寒すぎて具合が悪くなりそう。

もし彼女の人生をやり直す決意を翻させて高卒させず、やりたい仕事も考えられず結婚して子供産ませて育児させてってことなら、別に専業主婦を下に見るわけではなく、彼女の可能性を摘んで占有しただけ?という意味で寒いし、その先に見えるのは人生を振り返って少しお疲れな時に若いフッカーでないにしても、ただ癒やしてくれる魅力的な女に乗り換えて捨てられる将来まで想像できて、女が気の毒にすらなる。

せめて金で彼女の自立の手助けするくらいの描写があっても良かったのではないかな~。むしろこれじゃあ自立を邪魔してるよね。肝心なところを描かないで愛する2人が結ばれた形を強引に作っているけど、冷静に見たら、どこにも愛が感じられなくて笑う。

金と体があるのはわかる。そこからスタートして若さの無邪気な魅力に、競争社会を勝ち抜いた愛なき男が魅せられるのもわかる。その行きつく先がラプンツェルごっこか~。全然ハッピーな気持ちになれないハッピーエンド。

とはいえ途中経過の人間模様は面白かった。
エレベーターボーイの挙動不審なコミカルでお人好しなキャラとか支配人の人情味溢れる粋な振る舞いとか。
当時も今もかもしれないけれど、金ある界隈での優雅な生活は、確かに見てて痛快だし、ロデオドライブでのショッピングとかホテルのペントハンス住まいとか、それなりに見てて面白いのは事実。

極論を言えば、経過については特にどうでもいいかな、ラブコメとして普通に楽しめる。
ただラストが浅すぎてズッコケる、本当にそれだけ。

タクシーで去る時のIt Must Have Been Love by roxette好き。思い出して調べたら、ボーカルのマリー・フレデリクソンさん亡くなってるんだ。寂しい。
この作品を昔ほど楽しめないのも含めて改めて時の流れを感じる。
April01

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