41歳の春

男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎の41歳の春のレビュー・感想・評価

1.0
第33作目。84年盆公開。
シリーズ中ナカナカの駄作。そう言い切って良い。ホンが目茶苦茶。年2作制作のノルマが破滅的な結果をもたらした印象。よくこのクオリティで公開したな松竹も山田もと思う。

いろいろ壊滅的な本作で唯一気を吐いたのは美保純。裏の工場のタコの娘という設定でシリーズ最古参的な芝居をしていた。後で調べたら本作がシリーズ初出演と知り衝撃。美保純マジ卍。評価されてないけど大竹しのぶ級の屈指の女優かもしれない。

それに引き換え壊滅的にダメなのが本作のヒロインである中原理恵。良さが何一つ出ていない。気の毒なレベル。コレは本人のせいではなく完全に山田のせいでありホンのせいである。中原理恵はこの時代萩本欽一やらドリフの番組やらでコメディエンヌを演じており、評価されているのでこの結果はあくまでも山田の女優の捌きが壊滅的にダメだっただけ。
山田って美保純みたいな女優の演出は出来るけど中原理恵とか松阪慶子とか吉永小百合みたいな女優の演出はからきしダメだったように思う。それは本シリーズの結果に克明に出ている。

そして劇中の中原理恵をダメにするチンピラ崩れ役になんと渡瀬恒彦が登場。役通り全然華がない。役作りには成功してるけどだったらわざわざ渡瀬恒彦使う必要ある?と思った。火野正平でいいじゃねぇか。
なんつーか時折ナダルみたいに渡瀬恒彦が見えるようなカットもあり、ナダルって究極イケメンにしたら渡瀬恒彦になんのかよと思ったりもした。
ていうか渡瀬恒彦がそれっぽかったのは冒頭の西部劇の寸劇だけだった。

そして衝撃のラストシーン。マジ学芸会レベル。悪い意味でマジ卍。よくこのラストで公開しようと思えたよな。コレで客から金取ってたんだろ。すげぇなホント。当時劇場で本作みた観客はどう思ってたんだろう。
80年代って斜陽化した邦画産業の底だったんだろうけどちょうどいろいろいろんな意味で酷すぎるかも。
なんつーか美保純以外全部駄目。
41歳の春

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