かじドゥンドゥン

まわり道のかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

まわり道(1974年製作の映画)
3.0
作家を志すがいつまでも書けないでいる青年ヴィルヘルムが、母に背中を押されるようにして旅に出る。人間嫌いの彼ではあったが、途上で知り合った者たちと連れ立つことになり、人間の孤独や不安について彼らと言葉を交わしながら、(成長したのかしていないのかは分からないが)とにかく内面の大きな変化を遂げる。

〈書けない作家〉という矛盾、あるいは自分のアイデンティティに巣くうこの空虚こそを、自分の実存の根幹に据えなければ、書くという行為がそもそも立ち上がってこないのだから、作家とは難儀な仕事(?)だなと思う。