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見知らぬ乗客のzkのレビュー・感想・評価

見知らぬ乗客(1951年製作の映画)
3.5
粘着男と偶然知り合ったせいで酷い目に合う、ドタバタとしたサスペンス。
吹き替えで観たからか制作年代の割に見やすい。
ブルーノの邸宅でガイとブルーノが対峙するシーンはこれぞフィルム・ノワールというべき美しさと迫力がある。モノクロの良さを感じる。

以下ネタバレ抵触します。

先にハイスミスの原作を読んだが本作は原作とは全く違う。遊園地でのミリアム殺害シーンは(その時にブルーノはメリーゴーランドに乗っている。ヒッチコックはここをクライマックスに転用したと思われる)原作の映像化として説得力があった。

原作ではブルーノを拒絶しながら惹かれ合ってしまうという男同士の愛憎を描いているが、本作は一方的にガイが被害に遭う関係で物語が非常に単純化されている。
交換殺人という犯罪がもつ奇妙な運命共同体という根本の部分が描かれていない。交換殺人を一方的に迫るストーカーに付きまとわれる、という片側の話になっている。

ラストのメリーゴーランド倒壊のシーンは見応えあった。
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