こたつむり

ゲット・ショーティのこたつむりのレビュー・感想・評価

ゲット・ショーティ(1995年製作の映画)
4.0
♪ 瞳は RUN RUN RUN RUN 輝きだして
  辺りを SUN ZAN SAN ZAN 探してまわり
  鼓動は DAN DAN DAN DAN 走り出してる

『パルプ・フィクション』
それはタランティーノ監督の大出世作であり、ジョン・トラボルタが不死鳥ばりに復活した作品。その後の影響も含めると、映画史におけるターニングポイントとも言える作品です。

でも、トラボルタに限って言うならば。
「まだ、彼は錆びていない」と印象付けたのは『パルプ・フィクション』後に公開された本作じゃないでしょうか。何しろ、とても良い役柄なのです。

借金の取立屋だけど無暗に暴力は振るわない。
人の話をよく聞き、頼まれたら断らない。
普段からにこやかで何よりも映画好き。

そりゃあ、好感度も爆上りですよね。
勿論、それには彼の存在感が必須。ぶっちゃけた話、誰もが羨む好男子だったら“嫌味”が先立っていたと思います。どことなくユーモラスな部分があるトラボルタだから成立したのです。

また、物語も適度に面白くて、適度に混迷。
正直なところ、オチは予想どおりなんですが、それでもカタルシスを感じたのは“観客の気持ちに沿った”流れを大切にしたから。 “お約束”が物語を毀損するんじゃないんですね。

あと、舞台設定がハリウッドってのも心憎い話。
やはり、映画を観る人は映画が好きなわけで。
大なり小なり、映画の裏話にだって興味があると思うんですよ。だから、その裏側を見ることができる(と思わせる)だけで口角は上がるのです。

特にダニー・デヴィートの起用が最高でした。
彼が大スター役を演じる…それだけで笑みがこぼれるのに、絶妙なタイミングで“うまい使い方”をしているんです。いやぁ。おいしい役柄ですなあ。

まあ、そんなわけで。
ニヤニヤが止まらない軽妙な犯罪劇。
肩の力を抜いて楽しむ系ですね。また、トラボルタが格好良すぎるんで、彼の裏話を聴いた後に鑑賞するのもアリです。というか、それでも魅せるのが2000万ドルのスター。さすがです。
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