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遠い声、静かな暮しのotomのレビュー・感想・評価

遠い声、静かな暮し(1988年製作の映画)
5.0
郷愁風に描かれてるけど、過酷な労働者階級の一家の歴史って事で英国あるあるなお話。監督自身が生まれた頃の話っぽいので、伝聞中心にでありつつ、当時の世相を反映しながらまとめ上げられた印象。OP始まった瞬間から傑作の雰囲気漂う作品で、『失われた時を求めて』ばりな記憶の断片を飛び交う映画的魔術、音声と映像の時間的なズレ、パンニングからの時空移動など凝りまくった具合に時間が紡がれて行く。そして隙間なく入る独唱合唱のシーンで演出される50年代感もとても良い。幼少期の過去、と多分親の結婚の頃の過去とでどちら側にも良いも悪いもがあり、どっちにしろ終わってるなこの国はって感じと身内への愛がヒシヒシ伝わってくる。素晴らしい。
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