キヲシ

ブルーベルベットのキヲシのレビュー・感想・評価

ブルーベルベット(1986年製作の映画)
4.0
なんと言ってもデニスホッパーでしょう。箪笥に隠れたジェフリー(カイルマクラクラン、リンチに似てる)視点でもあるのだが、居間の中でドロシー(イザベラロッセリーニ)が人形のように見える。終盤、ここが再び舞台になる。登場するなり、怒鳴り喚き「ファック」を連呼するフランク(ホッパー)から 目が離せない。酸素マスクを装着して…。彼が帰ってからの刃物を持ったドロシーの行為は彼をなぞるかのよう。真っ赤な唇。そして、ベン(ディーンストックウェル)の口ぱく「インドリームス」(byロイオービソン)。フランクがテープを止めるまでのアイコンタクト、店内の豊かな女性?たちの人物配置がこれまたなんとも奇妙な感覚を呼び起こす。ドライブ行かないそれいいね行こう。なにせジェフリーは怖いもの知らず、そこで殴りますか…。ファムファタルとサンディ(ローラダーン)の間を行ったり来たり。男の夢か。パーティー帰りのサスペンスはサンディの私的映画史上最高の泣き顔で終わる。ホースから噴き上がる水に飛びかかる犬、チキンウォーク、盲人従業員、揺れる厚手のカーテン、叫び声のようなノイズと蝋燭、「ポールだ」のジャックナンス、黄色いセンターライン、車のルーフトップで踊る女…虫を咥えたコマドリ。密やかに開かれた悪夢の扉が静かに閉じて行く。劇場で見て衝撃を受けたのだが、どこで見たのかは全く覚えていない。
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