ノムラ

イントゥ・ザ・ワイルドのノムラのレビュー・感想・評価

イントゥ・ザ・ワイルド(2007年製作の映画)
4.6
家出青年が自分の力だけで自然の世界で生きようとしたら死んだ話。実話がベースとなっている。
アナザースカイで堀田茜ちゃんがアラスカの聖地に行ってて興味が湧き視聴。
正直言うと、あらすじを読んで「馬鹿じゃねえの」「これで人生観変わったとか言う人は甘ちゃんだな」と斜に構えた態度で視聴した。3時間後に「馬鹿じゃねえの(号泣)」「人生観変わった(号泣)」となった。良い映画だと思うが後味は相当悪い。

俯瞰的に見ればやっぱり自然と文明を見くびった馬鹿な青年の旅である。だが、この映画のメインは彼が深い悲しみや絶望から立ち直る過程で触れる「孤独」「幸福」「自由」の答えだ。
クリスは道中で出会う人々と人生について語り、影響を与えていく。誰も彼も厳格で社会的に成功した父親に比べ、小汚い世捨て人たちばかりだ。だがみなクリスの苦悩に気づき、大人としてさりげなくクリスのセラピーをしていく。心の傷は誰にも理解できないが、傷に寄り添う事ができる。実は影響を受けていたのはクリスの方である。
彼が大人達の生きた言葉に触れ、愛読書の一文を読み、全てに納得できた時には、大人や社会と分断された後だった。かつてヨーロッパで行われた実験では、コミュニケーションを一切取らずに育った子どもは全て亡くなってしまった。人は1人では決して生きられないのだ。それを再確認させられた。また作中に血が流れるシーンがあるのだが、あのシーンが無かったら私はこの映画をここまで許せなかった気がするので、苦手なシーンだが映画の転機点としてとても重要な場面だと思った。
アラスカとサルベーションマウンテン、そして自然の中にとても行きたくなる作品。ぜひ若い子に見てほしい。
ノムラ

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