MasaichiYaguchi

がんばっぺ フラガール! 〜フクシマに生きる。彼女たちのいま〜のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.5
東日本大震災直後の5月、新宿で開催された「フラガール全国きずなキャラバン」のイベントに参加し、彼女達の踊りを間近で見て、途中から止めどなく涙が溢れたことを思い出す。
東日本大震災と云う未曾有の天災で、大被害を受けた東北地方。
福島県いわき市にある「スパリゾートハワイアンズ」も大きな被害を受けた。
映画に出てきた被害は私の想像を遥かに越えていた。
「スパリゾートハワイアンズ」の営業再開の為、大震災被災者の為に自らも被災者でありながら復興の為に立ち上がったフラガール達。
映画「フラガール」で、多くの助演女優賞を獲得した蒼井優さんが、この彼女達に優しく寄り添うようなナレーションを担当している。
映画は、私が参加した新宿のイベントを含め、全国を巡るキャラバンの様子、そして避難所として「スパリゾートハワイアンズ」に身を寄せた被災者達を中心にドキュメントしていく。
特にフラガールの代表として、サブリーダーを務める大森梨江さんの生活が紹介される。
大森さんの実家は、福島第一原発から約2キロのところにある為、家族は避難し、借家暮らしを余儀なくされている。
一緒に避難出来ないペットは、ボランティア施設に預けられ、毎日通う大森さんの姿が映される。
大森さん以外にも、本拠地が使えず、他施設では火災予防条例上、火の使用が禁じられ、出番のないファイアーダンサーの裕仁ALEXさんの日々や、「スパリゾートハワイアンズ」を避難所として利用する福島県広野町の人々の生活も紹介されていく。
映画が進むにつれ、打ちのめされていた人々にも少しずつ笑顔が戻っていくのが分かる。
私は、このドキュメンタリーを観て、改めて「日本人って、素晴らしいなあ。」と思ったところがある。
「スパリゾートハワイアンズ」を利用する被災者達の折り目正しさ、それに対して真心で接するホテルスタッフ達。
この様な状況でも乱れることなく、礼節を持って行動する人々に深く心打たれた。
そして2012年2月8日に全面営業を再開。
ラストの方の彼女達のフラダンス、会場から湧き起こる声援と拍手、胸が一杯になって涙が止まらなかった。
復興の足音が人々の温かい気持ちと一緒に届くこの映画、まだ完全に復興していない被災地への思いを新たにしました。