Donguri5656

フレンジーのDonguri5656のネタバレレビュー・内容・結末

フレンジー(1972年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

警部さん、豚足は美味しいのでお試しを
(煮魚のスープはさすがにヤバそうだけど)

スコットランドヤードの総力よりも
推理力が優る平野レミか?という
警部の奥さんが、裏ヒロインなのかも。

昼間から飲んでは、すぐに興奮しては
周りに迷惑をかける主人公の
激情型人物造形に「最初は」ドン引き。

ユーモアの欠片も見当たらんし、
辛抱の時間だった。

まさかヒッチコックで露出シーンが
あるのも驚きだし、同情する気にも
ならない主人公の行動といい、
何かと過剰感があった。

だけど、です。

犯行シーンとその前後の描写によって、
映画の構造が見えてきてからは、
巻き込まれ型サスペンスと
警部夫妻の食事をめぐるユーモアが
うまく混じり合って、ヒッチコック
らしさが感じられ、なかなかの
見応えだった。

カメラワークもハッとするところが
いろいろあるし、「じゃがいも」との
格闘のあたりは、狂気とギャグが
混淆して、なぜか犯人に同情して
ハラハラする。

昔、ゴールデン洋画劇場で見て、
何やら恐かった印象だけが残っていて、
ようやく見直すことができてよかった。

あんな簡単に判決まで進んだり、
時間が相当経って手に入れたブラシに
都合よく粉が残ってたり、いかがなものか
と思うところはあるけど、良しとするか。

真犯人の性的渇望と、警部の空腹(目の前
にあるのに食べられない)がアイロニカル
に対照になっているらしい。

本家以上にヒッチコックタッチ濃いめの
『激突』が前年登場というのも、世代交代
を感じさせて何気に感慨深いかも。
Donguri5656

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